更新日:2026年8月16日
PEST分析とは、自社では変えられない外部環境を「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の4つに分けて把握するフレームワークです。数年単位で効いてくる変化を捉え、事業機会やリスクを先に見つけるために使います。
単独で使うより、SWOT分析の「機会」と「脅威」を埋める材料として使うのが実務的です。
この記事では各項目の調べ方と、分析を空論にしないための基準を説明します。
4つの項目と調べ方
| 項目 | 見るもの | 情報源 |
|---|---|---|
| P 政治 | 法改正、規制、補助金、税制 | 官公庁の発表、業界団体 |
| E 経済 | 景気、物価、金利、為替、賃金 | 統計、金融機関のレポート |
| S 社会 | 人口動態、働き方、価値観の変化 | 統計、業界紙 |
| T 技術 | 新技術、標準の変化、インフラ | 技術メディア、特許、標準化団体 |
BtoB では P(政治)の影響が大きいことが多くあります。インボイス制度や電子帳簿保存法のような制度変更は、そのまま需要を作ります。
BtoBでの記入例
| 項目 | 例 | 事業への影響 |
|---|---|---|
| 政治 | 中小企業向けのIT導入補助金 | 導入の後押しになる |
| 経済 | 人件費の上昇 | 自動化ツールの需要が増える |
| 社会 | 労働人口の減少 | 少人数で回す仕組みが求められる |
| 技術 | 生成AIの普及 | 業務の前提が変わる、競合も増える |
書くときは「だから自社にどう影響するか」まで書いてください。事実を並べただけでは、次の判断につながりません。
SWOTへつなげる
PEST で挙げた項目を、自社にとってプラスかマイナスかで振り分けます。
| PESTの項目 | 自社への影響 | SWOTでの位置 |
|---|---|---|
| 人件費の上昇 | 自動化需要が増える | 機会 |
| 人件費の上昇 | 自社の採用コストも上がる | 脅威 |
| 生成AIの普及 | 機能に組み込める | 機会 |
| 生成AIの普及 | 新規参入が増える | 脅威 |
同じ事象が機会にも脅威にもなる点が重要です。片方だけを見ると判断を誤ります。
机上の空論にしない基準
挙げた項目は、次の2つを満たすものだけ残します。
| 基準 | 満たさない例 |
|---|---|
| 自社の事業に具体的な影響がある | 「少子高齢化」だけでは打ち手が出ない |
| 3年以内に影響が現れる | 10年先の話は、今の意思決定に使えない |
PEST は広く挙げられるぶん、発散しやすいフレームワークです。項目を集めることが目的にならないよう、この2つで絞ってください。
見直す頻度
- 年1回の見直しが基本。事業計画の策定時に合わせる
- 法改正の発表があったときは随時追加する
- 前回挙げた項目のうち、実際に影響が出たものを確認する
- 外れた予測も残しておく。判断の癖が分かる
まとめ
- PESTは政治・経済・社会・技術の4つで外部環境を把握する
- 単独ではなくSWOTの機会・脅威の材料として使う
- 同じ事象が機会にも脅威にもなる
- 「自社への影響が具体的」「3年以内」の2条件で絞る
よくある質問
PEST分析の4項目は何ですか?
政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つです。いずれも自社では変えられない外部環境で、数年単位で効いてくる変化を捉えるために使います。
PEST分析はSWOT分析とどう使い分けますか?
PESTは外部環境の把握、SWOTは内部と外部を合わせた整理です。実務ではPESTで挙げた項目を、SWOTの「機会」と「脅威」に振り分けて使います。
PEST分析が机上の空論になってしまいます。
項目を絞る基準がないためです。「自社の事業に具体的な影響がある」「3年以内に影響が現れる」の2条件を満たすものだけを残してください。
どのくらいの頻度で見直しますか?
年1回、事業計画の策定時に合わせるのが基本です。ただし法改正の発表があった際は随時追加してください。