更新日:2026年8月16日
価格設定とは、提供する商品やサービスに対して、いくらで販売するかを決めることです。
価格は最も影響が大きく、最も見直されていない項目です。集客やCV率の改善に比べ、価格の変更は利益に直接効きます。
それでも多くの企業が「なんとなく決めた価格」をそのまま使い続けています。
3つの決め方
| 軸 | 考え方 | 利点 | 欠点 |
|---|---|---|---|
| 原価基準 | 原価+利益 | 計算しやすい | 顧客の価値を無視する |
| 競合基準 | 他社の価格に合わせる | 市場から外れない | 価格競争になる |
| 価値基準 | 顧客が得る価値から | 高い価格を付けられる | 価値の証明が必要 |
実務では3つを併用します。原価で下限を、競合で相場観を、価値で上限を把握し、その範囲で決めます。
価値基準で考える
| 顧客が得るもの | 金額換算 | 例 |
|---|---|---|
| 削減できる工数 | 時間 × 人件費 | 月20時間 × 3,000円 = 6万円 |
| 削減できる外注費 | — | 月10万円 |
| 増える売上 | 商談増 × 受注率 × 単価 | 月50万円 |
| 防げる損失 | — | 解約1件あたり◯万円 |
| 合計の価値 | — | 月66万円 |
顧客が得る価値の1〜2割程度が、受け入れられやすい価格帯とされます。ただし業種や商材によって差があるため、自社の受注・失注実績で検証してください。
料金体系の型
| 型 | 課金の基準 | 適する商材 |
|---|---|---|
| 定額 | — | 機能が固定 |
| ID数(ユーザー数) | 使う人数 | 人が使うツール |
| 従量 | 利用量 | 使用量に幅がある |
| 段階制(プラン) | 機能・上限で区分 | 幅広い顧客層 |
| 初期費用+月額 | — | 導入支援が必要 |
| 成果報酬 | 成果の量 | 成果が明確に測れる |
| 組み合わせ | 基本料+従量 | — |
従量課金は「使うほど高くなる」ため、工数削減を訴求する商材とは相性が悪いことがあります。訴求と課金の方向が矛盾しないか確認してください。
プランの設計
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 3つ程度に絞る | 多いと選べない |
| 違いを明確にする | 何が増えるのか一目で |
| 推奨プランを示す | 選択の負担を減らす |
| 上位に進む理由を作る | ID数、機能、上限 |
| 下位で完結させない | 使えるが物足りない設計 |
| 上限を明示する | 後から追加費用が出ないように |
プランは3つが扱いやすい数です。5つ以上あると、比較の負担で判断が止まります。
安く売りすぎている兆候
| 兆候 | 示していること |
|---|---|
| ほぼ全ての商談が受注になる | 価格が安すぎる可能性 |
| 価格を理由に断られたことがない | 同上 |
| 競合より明らかに安い | — |
| 粗利率が低い | — |
| 対応の負荷に見合っていない | — |
| 顧客から「安い」と言われる | — |
受注率が高すぎるのは、価格が安すぎる兆候です。適正な価格であれば、価格を理由に断られる商談が一定数あります。
値上げの進め方
- ① 新規から適用する:既存顧客はそのまま
- ② 新規での反応を見る:受注率がどう変わるか
- ③ 既存顧客には時期を置いて通知する:数か月前に
- ④ 理由を説明する:機能追加、コスト上昇
- ⑤ 移行期間を設ける:現行価格を一定期間維持
- ⑥ 解約の可能性を織り込む:一定数は離れる前提
既存顧客への値上げは慎重に進めてください。新規で検証してから、時期と説明を十分に用意して通知します。
見直しのタイミング
| 契機 | 理由 |
|---|---|
| 機能・提供範囲が増えた | 価値が上がった |
| 原価が上昇した | — |
| 競合が値上げした | 相場が動いた |
| 受注率が高すぎる | 安すぎる兆候 |
| 対応の負荷が増えた | — |
| 年1回の定期見直し | — |
年1回は見直しの機会を設けてください。据え置きを選ぶとしても、判断した記録が残ります。
まとめ
- 価格は最も影響が大きく、最も見直されていない項目
- 原価で下限、競合で相場、価値で上限を把握する
- 訴求と課金の方向が矛盾しないか確認する
- プランは3つ程度
- 受注率が高すぎるのは安すぎる兆候
- 値上げは新規から。既存は時期と説明を用意
- 年1回は見直しの機会を設ける
よくある質問
価格はどう決めればよいですか?
原価・競合・価値の3つを併用してください。原価で下限(これ以下では赤字)、競合で相場観、顧客が得る価値で上限を把握し、その範囲で決めます。どれか1つだけで決めると、原価基準は顧客の価値を無視し、競合基準は価格競争に陥り、価値基準は証明ができないと成立しません。
自社の価格が安すぎるか判断する方法はありますか?
受注率と、価格を理由とした失注の有無で判断できます。ほぼすべての商談が受注になっている、価格を理由に断られたことが一度もない、という状態は安すぎる兆候です。適正な価格であれば、価格を理由に断られる商談が一定数あります。
値上げはどう進めればよいですか?
新規から適用し、反応を見てから既存顧客に通知してください。新規での受注率の変化を確認することで、値上げ幅が妥当かを検証できます。既存顧客には数か月前に通知し、理由を説明したうえで移行期間を設けてください。一定数の解約は前提として織り込む必要があります。
料金を公開すべきですか?
価格帯だけでも公開することをお勧めします。BtoBでは担当者が社内で概算を出せないと稟議を始められず、金額が分からない時点で候補から外れます。競合に見られることを懸念する声もありますが、競合は問い合わせるなり他の手段で調べるなりして、いずれ把握します。公開しないことで失う機会のほうが大きくなります。