更新日:2026年8月16日
既存顧客への横展開とは、すでに取引のある企業の別部署・別拠点・グループ会社に、同じサービスを広げることです。
新規開拓より確実性が高く、費用もかかりません。すでに実績と信頼があります。
それにもかかわらず「聞いていない」だけで進んでいないことが多くあります。
新規開拓との違い
| 項目 | 横展開 | 新規開拓 |
|---|---|---|
| 信頼の初期値 | 高い | ゼロ |
| 実績の説明 | 不要(社内に実績がある) | 必要 |
| 稟議 | 通りやすい | — |
| 費用 | ほぼゼロ | かかる |
| 受注率 | 高い | — |
| 検討期間 | 短い | 長い |
社内に導入実績があることが最大の強みです。「隣の部署で使っている」は、外部の事例より説得力があります。
広げる先
| 対象 | 進めやすさ | きっかけ |
|---|---|---|
| 同じ部署の別担当者 | 最も容易 | 利用者を増やす |
| 別部署 | 容易 | 同じ課題があるか |
| 別拠点・支社 | 容易 | — |
| グループ会社 | 中 | 別法人として扱う |
| 取引先 | 中 | 紹介の形 |
まず「同じ部署で使う人を増やす」ことから始めてください。利用者が1人だと解約リスクも高くなります。
広げるタイミング
| タイミング | 適否 | 理由 |
|---|---|---|
| 成果が数字で出た直後 | 最適 | 説明材料がある |
| 定期面談の場 | 良い | 自然に聞ける |
| 更新が決まった直後 | 良い | — |
| 利用が定着した後(3〜6か月) | 良い | — |
| 導入直後 | 不適 | まだ価値が出ていない |
| 問題が起きている最中 | 不適 | — |
導入直後に広げようとしないでください。その部署で成果が出ていない状態では、他部署も動きません。
聞き方
| 悪い | 良い |
|---|---|
| 「他部署でも使いませんか」 | 「同じような課題をお持ちの部署はありますか」 |
| 「ご紹介いただけませんか」 | 「◯◯部さんでも△△の課題があると伺いましたが」 |
| 一方的に依頼する | 相手の利点を示す(全社導入の割引など) |
| 担当者を飛ばす | 必ず担当者経由で |
担当者を飛ばして別部署に直接接触しないでください。その担当者の顔を潰し、以後協力を得られなくなります。
進め方
- ① 現部署での成果を数字で示す:説明材料になる
- ② 他部署の課題を聞く:担当者から
- ③ 紹介を依頼する:担当者経由で
- ④ 現部署の担当者に同席してもらう:最も効く
- ⑤ 全社での利点を示す:データの統合、割引
- ⑥ 段階的に広げる:一気に全社を狙わない
④が最も効きます。既に使っている社内の人が同席すると、説明の説得力がまったく違います。
全社導入を狙う場合
| 論点 | 考えること |
|---|---|
| 決裁者 | 部門長か、経営か |
| 予算 | 部門予算か、全社予算か |
| 情報システム部門 | 全社導入では必ず関与する |
| 既存システムとの整合 | — |
| 料金体系 | 全社での価格 |
| 導入の順序 | どの部署から |
| 推進役 | 社内で旗を振る人 |
「推進役」がいるかが成否を分けます。社内で誰も旗を振らない全社導入は進みません。
注意点
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 担当者を飛ばさない | 関係が壊れる |
| 部署ごとに事情が違う | 同じ提案が通るとは限らない |
| 既存の契約条件との整合 | — |
| 既存部署のサポートを疎かにしない | — |
| 急がない | 段階的に |
| グループ会社は別法人 | 契約・与信を分けて考える |
既存部署のサポートが疎かになると、横展開どころか解約につながります。
見る指標
| 指標 | 見ること |
|---|---|
| 1社あたりの利用者数 | 広がり |
| 1社あたりの契約金額 | — |
| 横展開の件数 | — |
| アップセル率 | — |
| NRR(売上維持率) | 既存だけで伸びているか |
「1社あたりの利用者数」が最も分かりやすい指標です。1人のままの顧客は、広がっておらず解約リスクも高い状態です。
まとめ
- 横展開は新規開拓より確実で費用もかからない
- 進んでいない最大の原因は聞いていないこと
- まず同じ部署で使う人を増やす
- タイミングは成果が数字で出た直後
- 担当者を飛ばさない
- 現部署の担当者に同席してもらうのが最も効く
- 全社導入は推進役がいるかが成否を分ける
よくある質問
既存顧客への横展開はなぜ有効ですか?
すでに実績と信頼があるためです。社内に導入実績があることは、外部の事例より説得力があります。稟議も通りやすく、検討期間も短くなります。費用もほとんどかからないため、新規開拓より投資対効果が高くなります。
どのタイミングで広げるべきですか?
現在の部署で成果が数字で出た直後です。その数字が他部署への説明材料になります。逆に、導入直後や成果が出ていない状態で広げようとすると、「使えているのか」と疑問を持たれて逆効果です。
他部署への紹介をどう依頼すればよいですか?
「同じような課題をお持ちの部署はありますか」と聞いてください。「他部署でも使いませんか」だと売り込みに聞こえます。加えて、現在の担当者に同席してもらうと説得力が大きく変わります。社内の人が「これで助かっている」と言うことが、最も効く材料です。
担当者を通さずに他部署に接触してもよいですか?
してはいけません。担当者の顔を潰すことになり、以後その担当者から協力を得られなくなります。既存部署のサポートが疎かになると、横展開どころか現在の契約の解約につながります。必ず担当者経由で進めてください。