更新日:2026年8月16日
ロジックツリーとは、ひとつの事柄を階層的に分解して樹形図の形に整理し、原因の特定や打ち手の洗い出しを行う思考の道具です。
「問い合わせが減った」のような漠然とした問題を、対処できる粒度まで分解するために使います。
分解の仕方によって4つの型があり、目的に合った型を選ばないと、正しく分解しても答えにたどり着きません。
4つの型
| 型 | 問い | 使う場面 |
|---|---|---|
| Whatツリー(要素分解) | 何で構成されているか | 対象の全体像を把握する |
| Whyツリー(原因追究) | なぜそうなったか | 問題の原因を特定する |
| Howツリー(手段展開) | どうすれば実現できるか | 打ち手を洗い出す |
| KPIツリー(指標分解) | どの数値の積み上げか | 目標を数値で管理する |
順番としてはWhat → Why → Howで使うのが基本形です。構造を把握し、原因を突き止め、打ち手を出します。
作り方の手順
- ① 一番左に問いを置く:「問い合わせが月40件から25件に減った」のように、事実と数値で書く
- ② 分解の切り口を1つ決める:1階層につき切り口は1つ。混ぜると重複が出る
- ③ 漏れなく重複なく分ける:MECEを意識する
- ④ 各枝に数字を入れる:数字が入らない枝は検証できない
- ⑤ 3階層まで下げる:それ以上は実務では扱いきれない
- ⑥ 効きそうな枝を1〜2本選ぶ:全部に手を打とうとしない
④が最も重要です。各枝に数字が入って初めて、どの枝が問題なのかが分かります。
Whyツリーの例:問い合わせが減った
| 第1階層 | 第2階層 | 見る数字 |
|---|---|---|
| 流入が減った | 検索流入の減少 | 自然検索セッション数、順位 |
| 流入が減った | 広告の停止・単価上昇 | 広告クリック数、CPC |
| 流入が減った | 参照元サイトからの流入減 | リファラル流入数 |
| サイト内の遷移が悪化 | LPの離脱増 | LPの直帰率 |
| サイト内の遷移が悪化 | フォームへの到達減 | フォームページ到達率 |
| フォームで落ちている | 入力途中の離脱 | フォーム到達→送信の完了率 |
| フォームで落ちている | エラー・不具合 | 送信エラー率 |
| 質は変わっていないが数え方が変わった | 計測タグの欠落 | 計測ページのタグ有無 |
最後の枝を忘れがちです。数字が急に落ちたときは、まず計測が壊れていないかを疑ってください。
KPIツリーの例:受注数
| 階層 | 分解 |
|---|---|
| 受注数 | = 商談数 × 受注率 |
| 商談数 | = 有効リード数 × 商談化率 |
| 有効リード数 | = リード数 × 有効率 |
| リード数 | = セッション数 × CV率 |
| セッション数 | = 自然検索 + 広告 + 参照 + 直接 + メール |
掛け算で分解できると、どこを何倍にすれば目標に届くかが計算できます。CV率を1.5倍にするのと、セッションを1.5倍にするのでは、必要な労力が違います。
Howツリーの例:CV率を上げる
| 方向 | 具体策 |
|---|---|
| 入力の負担を下げる | 項目数を減らす、任意項目を明示、入力補助を入れる |
| 不安を下げる | 導入事例、料金の目安、個人情報の扱いを明記 |
| 動機を上げる | 資料の中身を提示、比較表を置く |
| 導線を増やす | 記事下・サイドバー・追従バナーに設置 |
| 対象を変える | 検討度の高いキーワードに広告を寄せる |
Howツリーは枝の数より、実行できる粒度まで下りているかが大事です。「改善する」で止まっている枝は、まだ分解が足りません。
よくある失敗
| 失敗 | 症状 | 直し方 |
|---|---|---|
| 切り口が混在 | 同じ階層に「地域別」と「商品別」が並ぶ | 1階層1切り口にする |
| 分解が浅い | 「集客が弱い」で止まる | 数字で測れる粒度まで下げる |
| 分解が深すぎる | 5階層以上で枝が数十本 | 3階層で止める |
| 数字が入らない | どの枝が問題か分からない | 各枝に実績値を書く |
| 網羅にこだわりすぎる | 作るだけで終わる | 8割の網羅で先へ進む |
ロジックツリーは完璧に作るものではありません。「どこに手を打つか」が決まった時点で目的は果たしています。
まとめ
- ロジックツリーにはWhat / Why / How / KPIの4つの型がある
- 基本の流れはWhat → Why → How
- 1階層につき切り口は1つ。混ぜると重複する
- 各枝に数字を入れる。入らない枝は検証できない
- 深さは3階層まで
- 網羅より、打ち手が決まることを優先する
よくある質問
ロジックツリーとMECEはどう関係しますか?
MECEは「漏れなく、重複なく」という分解の質を保つための考え方で、ロジックツリーはそれを樹形図の形で実践する道具です。MECEでない分解をすると、同じ原因を二重に数えたり、真の原因を見落としたりします。
何階層まで分解すればよいですか?
3階層が実務上の目安です。1階層で3〜5本に分けると3階層で27〜125本になり、それ以上は扱いきれません。判断基準は階層数そのものより「その枝を見て、明日何をすればよいか分かるか」です。分かるところまで下げ、分かったら止めます。
分解の切り口が思いつかないときはどうしますか?
定番の切り口を当ててみてください。時系列(過程を順に)、掛け算(数量×率)、対比(内部/外部、既存/新規)、5W1Hのいずれかで大抵は分解できます。マーケティングであれば「流入 → 遷移 → CV」の時系列分解が使いやすい型です。
作ったツリーはどう使いますか?
各枝に数字を入れて目標や前期と比べ、最も差が大きい枝を1〜2本選びます。選んだ枝に対してHowツリーを作り、具体策に落とします。ツリーを作ること自体が目的にならないよう、必ず「どの枝に手を打つか」まで決めてください。