更新日:2026年8月16日
競合分析とは、同じ顧客層を狙う他社の商品・価格・訴求・集客方法を調べ、自社が取るべき立ち位置と打ち手を決めるための調査です。
目的は「競合の真似をすること」ではなく、競合が埋めていない場所を見つけることです。
調べる対象を絞らずに始めると終わりません。実際に相見積もりで競合する3〜5社に限定するのが実務的です。
競合の3分類
| 分類 | 定義 | 例(MAツールの場合) |
|---|---|---|
| 直接競合 | 同じ課題を同じ手段で解決する | 他のMAツール |
| 間接競合 | 同じ課題を別の手段で解決する | 営業代行、外注のインサイドセールス |
| 代替手段 | ツールを使わずに済ませる | Excel+手作業のメール送信、何もしない |
BtoBで最も多い「競合」は「何もしない(現状維持)」です。失注理由を集計すると、他社に負けたのではなく検討が止まっただけ、というケースが相当数を占めます。
調べる10項目
| 項目 | 見る場所 |
|---|---|
| 提供機能・サービス範囲 | サービスサイト、機能一覧ページ |
| 価格・料金体系 | 料金ページ、相見積もりで出た金額 |
| 狙っている顧客層 | 導入事例に出る企業の規模・業種 |
| 訴求している強み | トップページの見出し、広告文 |
| 導入実績 | 「導入社数◯◯社」の記載、事例数 |
| 集客方法 | 検索順位、広告出稿、記事本数、SNS |
| 契約条件 | 最低契約期間、初期費用、解約条件 |
| サポート体制 | 対応時間、支援範囲、追加費用 |
| 評判 | 比較サイトのレビュー、SNSの言及 |
| 組織規模・資金 | 採用ページの募集数、資金調達のニュース |
採用ページは情報量が多い割に見落とされます。募集職種から注力領域が、募集人数から拡大のペースが読めます。
無料で使える情報源
| 情報源 | 分かること |
|---|---|
| 競合のサービスサイト | 機能、価格、訴求、事例 |
| 料金ページの更新履歴 | 価格改定の頻度と方向 |
| 導入事例ページ | 狙っている業種・規模、訴求している効果 |
| 採用ページ | 注力領域、組織規模、拡大ペース |
| 比較サイトのレビュー | 実際の不満点、評価されている点 |
| 検索結果 | どのキーワードで上位にいるか |
| 広告の表示 | 出稿しているキーワードと広告文 |
| プレスリリース | 新機能、提携、資金調達 |
| 官報・登記情報 | 決算公告(株式会社の場合) |
比較サイトの低評価レビューが最も価値の高い情報です。競合の弱点が顧客の言葉で書かれています。
比較表にまとめる
| 項目 | 自社 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 月額(最小構成) | 5万円 | 10万円 | 3万円 | 15万円 |
| 初期費用 | なし | 30万円 | なし | 50万円 |
| 最低契約期間 | なし | 1年 | 6か月 | 1年 |
| 主な対象規模 | 50〜300名 | 300名〜 | 〜50名 | 1,000名〜 |
| 導入までの期間 | 1週間 | 1〜2か月 | 即日 | 2〜3か月 |
| サポート | チャット・メール | 専任担当 | FAQのみ | 専任+常駐 |
比較表は顧客が実際に比べる項目で作ってください。自社が勝てる項目だけを並べても、商談では役に立ちません。
分析結果を打ち手に落とす
| 見つかった状況 | 取るべき打ち手 |
|---|---|
| 競合が全社、大企業向け | 中小企業向けに特化した訴求に寄せる |
| 競合が価格を公開していない | 価格帯を公開して比較検討の土俵に乗る |
| 競合のレビューに同じ不満が並ぶ | その点を自社の訴求の中心にする |
| 競合が特定キーワードを押さえている | 別の検討段階のキーワードを狙う |
| 競合の導入期間が長い | 導入の速さを前面に出す |
| どの項目でも勝てない | ターゲットを絞って、その層でだけ強い状態を作る |
全項目で勝とうとしないでください。1〜2項目で明確に勝ち、他は同等であれば、比較検討に残れます。
やってはいけないこと
- 競合の真似を始める:追随すると差がなくなり、価格勝負になります
- 調べるだけで終わる:打ち手を1つ決めるまでが分析です
- 競合を10社以上追う:更新が追いつかず、情報が古くなります
- 不正な手段で情報を得る:偽の問い合わせや、他社従業員からの機密取得は法的な問題になります
- 1回で終わらせる:価格も訴求も変わります。四半期に1回は更新してください
まとめ
- 競合は直接・間接・代替手段の3種類。BtoBでは「何もしない」が最大の競合
- 追う競合は3〜5社に絞る
- 比較サイトの低評価レビューと採用ページが情報源として有用
- 比較表は顧客が比べる項目で作る
- 全項目で勝とうとせず、1〜2項目で明確に勝つ
- 四半期に1回は更新する
よくある質問
競合はどうやって特定しますか?
最も確実なのは失注理由の集計です。「どこと比較しましたか」を商談で聞き、実際に名前が挙がる会社を競合とします。次に、自社の主要キーワードで検索したときの上位表示企業と、比較サイトで併記される企業を加えます。想像で選ばないでください。
競合分析はどのくらいの頻度で行いますか?
四半期に1回の更新が目安です。価格改定、新機能、訴求の変更は数か月単位で起きます。ただし競合が大きな動き(値下げ、新製品、資金調達)を見せたときは、その都度確認してください。
競合の価格が分からない場合はどうしますか?
公開していない企業も多くあります。その場合は失注時の顧客からの情報(相見積もりで提示された金額)、比較サイトの記載、導入事例に出てくる規模からの推定を組み合わせます。偽の問い合わせで見積もりを取る行為は避けてください。
競合より劣っている点はどう扱えばよいですか?
隠さず、ターゲットを絞ることで無効化します。例えば大企業向けの機能で劣るなら、中小企業に対象を絞れば、その機能は比較項目から外れます。全項目で勝つ製品は存在しないため、「誰にとって勝っているか」を定義するほうが現実的です。