更新日:2026年8月16日
DECAXとは、発見(Discovery)、関係(Engage)、確認(Check)、行動(Action)、体験共有(eXperience)の5段階で顧客の行動を捉える、コンテンツマーケティングを前提とした購買行動モデルです。
2015年に電通の内藤敦之氏が提唱しました。企業が広告で認知させるのではなく、顧客が自らコンテンツを見つけるところから始まる点が特徴です。
検索やSNSで情報を集めてから接触してくるBtoBの購買実態に、比較的よく当てはまります。
5段階の内容
| 段階 | 顧客の行動 | |
|---|---|---|
| Discovery(発見) | 顧客がコンテンツを見つける | 検索する、SNSで流れてくる、紹介される |
| Engage(関係) | 発信者との関係を築く | 記事を読み続ける、メルマガを登録する |
| Check(確認) | 信頼できるか確かめる | 会社概要、実績、他社の評判を見る |
| Action(行動) | 購入・申し込みをする | 資料請求、問い合わせ、契約 |
| eXperience(体験共有) | 体験を共有する | レビュー、社内での推薦、紹介 |
企業側が起点になる段階が1つもないのがこのモデルの前提です。企業ができるのは「見つけてもらえる場所に、見つけてもらえる中身を置くこと」に限られます。
他のモデルとの違い
| モデル | 起点 | 企業の役割 |
|---|---|---|
| AIDMA | 企業の広告(Attention) | 注意を引く |
| AISAS | 企業の広告(Attention) | 注意を引き、検索されたときに出る |
| SIPS | 発信者への共感 | 共感される発信を続ける |
| DECAX | 顧客の発見(Discovery) | 見つけてもらえるコンテンツを置く |
AISASの「Search(検索)」は認知した後の確認行動ですが、DECAXのDiscoveryは認知そのものが検索から起きます。ここが決定的な違いです。
① Discovery:見つけてもらう
| 流入 | 必要なこと |
|---|---|
| 検索 | 検索されている言葉で、答えになる記事がある |
| SNS | 業界で共有されたくなる内容がある |
| 比較サイト | 掲載されている、レビューがある |
| 紹介 | 既存顧客が人に話せる状態になっている |
| 生成AIの回答 | 用語や手順を定義した記事があり、引用される |
最後の項目は近年比重が増しています。AIの回答に引用されるのは、製品ページではなく用語や手順を説明した記事であることが実測でも確認されています。
② Engage:関係を築く
| 状態 | 次に用意するもの |
|---|---|
| 記事を1本読んだ | 関連記事への導線 |
| 何本か読んだ | まとまった資料(ホワイトペーパー) |
| 資料を取った | 定期的な情報提供(メルマガ) |
| メルマガを読んでいる | セミナー、事例 |
Engageの段階でいきなり営業をかけると関係が切れます。まだ相手は「この会社の情報は役に立つ」と思っている段階で、買う準備はできていません。
③ Check:確認される
| 確認されること | 用意しておくもの |
|---|---|
| どんな会社か | 会社概要、代表者、所在地、設立年 |
| 実績はあるか | 導入企業数、導入事例 |
| 同業で使われているか | 業種別の事例 |
| 評判はどうか | 比較サイトのレビュー、第三者の言及 |
| いくらかかるか | 価格帯の目安 |
| やめられるか | 契約期間、解約条件 |
Checkは自社サイトの外でも行われます。比較サイトや口コミに何も情報がない状態だと、ここで検討から外れます。
④ Action:行動しやすくする
- 入口を複数用意する:資料請求、デモ依頼、相談だけ、の3種類
- フォーム項目を絞る:検討段階が浅いほど、項目数が離脱に直結する
- 次に何が起きるか書く:「1営業日以内に担当からご連絡します」
- 電話番号も出す:急ぐ相手が拾えなくなる
- 資料は即時ダウンロード:後日メール送付は離脱する
⑤ eXperience:体験を共有してもらう
| 共有の形 | 促し方 |
|---|---|
| 社内での推薦 | 担当者が上司に説明できる資料を渡す |
| 同業への紹介 | 紹介制度、紹介元へのお礼 |
| 事例への協力 | 成果が出たタイミングで依頼する |
| レビュー投稿 | 比較サイトへの投稿を依頼する |
BtoBの体験共有で最も効くのは社内での推薦です。契約後に使われず放置されると、次の更新で切られます。導入直後の立ち上げ支援が、実は共有段階の施策でもあります。
DECAXで施策を点検する
| 段階 | 抜けていると起きること | 指標 |
|---|---|---|
| Discovery | そもそも見つけられない | 自然検索の流入数、指名検索数 |
| Engage | 1回来て終わり | 再訪率、メルマガ登録数 |
| Check | 検討の途中で消える | 会社概要・事例ページの閲覧率 |
| Action | 見ているのに問い合わせが来ない | フォーム到達率、CV率 |
| eXperience | 伸びが続かない | 紹介経由の比率、継続率 |
どの段階が弱いかは指標で判別できます。流入があるのにCVが低ければAction、CVはあるが伸びが止まっていればeXperienceに手を入れます。
まとめ
- DECAXは発見 → 関係 → 確認 → 行動 → 体験共有の5段階
- 起点が企業の広告ではなく顧客の発見である点が他モデルと違う
- Engageの段階で営業をかけると関係が切れる
- Checkは自社サイトの外でも行われる
- BtoBの体験共有は社内での推薦が最も効く
- 各段階に指標を割り当てると、弱い箇所が特定できる
よくある質問
DECAXとAISASはどちらを使うべきですか?
広告で認知を取る施策が中心ならAISAS、記事や資料で見つけてもらう施策が中心ならDECAXが実態に近くなります。BtoBで検索流入を主軸にしている場合はDECAXのほうが説明力があります。どちらか一方が正しいというものではなく、自社の集客構造に合うほうを使ってください。
Discoveryを増やすには何から着手しますか?
既に検索されている言葉に、答えになる記事を用意することからです。新しい需要を作るより、既にある検索需要を拾うほうが早く結果が出ます。Search Consoleで「表示はされているがクリックされていない」キーワードを見ると、着手すべき記事が見つかります。
Engageの段階はどのくらいの期間を見ますか?
商材によりますが、BtoBでは数か月から1年かかることも珍しくありません。検討期間が長い商材ほど、この段階で接触を切らさないことが重要になります。反応がないからといって配信を止めると、検討が始まったときに思い出してもらえません。
体験共有はどう促せばよいですか?
成果が出たタイミングを捉えることが最も重要です。導入から半年後に「何も変わっていない」状態で事例を依頼しても断られます。利用状況や成果指標を見て、良い数字が出た直後に依頼してください。あわせて、担当者が社内で説明できる資料を渡しておくと、社内推薦という形の共有が起きやすくなります。