更新日:2026年8月16日
トークスクリプトとは、営業が電話や商談で話す内容を、流れと想定される反応ごとにあらかじめ整理した台本のことです。
目的は「読み上げさせること」ではなく「型を共有すること」です。一字一句そのまま話させると不自然になり、かえって成果が落ちます。
最も効くのは冒頭の20秒と断られたときの返しの2箇所です。ここだけ作るだけでも接触率は変わります。
構成
| 場面 | 時間の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| 名乗り・用件 | 10〜20秒 | 切られずに話を続ける |
| 状況確認 | 1〜2分 | 相手の現状を聞く |
| 課題の掘り下げ | 2〜3分 | 困りごとと影響を聞く |
| 提案の入口 | 1分 | 解決の方向性だけ示す |
| 次のアクション | 30秒 | 日程を決める |
電話の目的は売ることではなく、次の約束を取ることです。1本の電話で説明しきろうとすると、ほぼ確実に切られます。
冒頭20秒の型
最初に伝えるのは「誰が」「なぜ電話したか」「どのくらい時間をもらうか」の3つです。
| 要素 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 名乗り | 「株式会社◯◯の△△と申しますが」 | 同左(ここは短く) |
| 用件 | 「弊社のサービスのご案内で」 | 「御社のサイトで採用強化をされていると拝見しまして」 |
| 時間 | (言わない) | 「2分だけよろしいでしょうか」 |
| 質問 | 「ご担当者様はいらっしゃいますか」 | 「◯◯の運用は、どちらの部署でご担当されていますか」 |
「サービスのご案内」と言った瞬間に切られます。相手にとっての用件に翻訳してください。
状況確認で聞くこと
- 現状:「今はどのように対応されていますか」
- 困りごと:「その中で、手間になっている部分はありますか」
- 影響:「それにどのくらいの時間がかかっていますか」
- 優先度:「社内では、この課題の優先度は高いほうですか」
- 時期:「いつ頃までに何とかしたいとお考えですか」
順番が重要です。いきなり「課題はありますか」と聞いても答えは出ません。現状を話してもらう中で、相手自身が問題に気づく流れを作ります。
断り文句への返し方
| 断り文句 | 背景 | 返し方 |
|---|---|---|
| 「間に合っています」 | 現状で困っていない、または聞く気がない | 「差し支えなければ、今はどちらをお使いですか」と現状を聞く |
| 「忙しいので」 | タイミングが悪い | 「失礼しました。改めてご連絡してもよろしい時間帯はありますか」 |
| 「担当が不在です」 | 取次のガード | 「いつ頃お戻りでしょうか」+用件を一言残す |
| 「資料を送ってください」 | 断りの定型句のことが多い | 「承知しました。どの点にご関心がありますか」と絞る |
| 「予算がありません」 | 時期の問題 | 「来期のご検討時期はいつ頃でしょうか」 |
| 「必要ありません」 | 明確な拒否 | 深追いしない。記録して終える |
最後の1つは食い下がらないでください。明確な拒否を無視すると、企業の評判が下がり、以降その企業には二度と接触できなくなります。
作り方の手順
- ① 成績の良い担当者の通話を書き起こす:想像で作らない
- ② 共通している流れを抽出する:何を、どの順番で話しているか
- ③ 断り文句を集めて分類する:直近100件から
- ④ 上位5つの断り文句に返しを用意する
- ⑤ 1週間使って、詰まった箇所を直す
- ⑥ 月次で更新する
①がすべてです。机上で作ったスクリプトは、現場で3日と持ちません。
使われるスクリプトにする
| 使われない原因 | 対処 |
|---|---|
| 長すぎる | A4で1〜2枚に収める |
| 読み上げを強制している | 型として渡し、言い回しは任せる |
| 更新されていない | 月次で見直し、更新日を明記する |
| 現場の実感と違う | 作成に現場を参加させる |
| 成果が示されていない | 使用前後の接触率を共有する |
スクリプトは新人のためだけのものではありません。断り文句への返しは経験者にも有効で、ここを共有すると組織全体の水準が上がります。
まとめ
- スクリプトの目的は型の共有。読み上げさせることではない
- 電話のゴールは次の約束を取ること
- 冒頭20秒で「誰が」「なぜ」「どのくらい」を伝える
- 「サービスのご案内」は禁句
- 断り文句上位5つへの返しを用意する
- 明確な拒否には食い下がらない
- 成績の良い担当者の通話を書き起こして作る
よくある質問
スクリプトどおりに話すべきですか?
いいえ。流れと要点は守り、言い回しは各自に任せてください。読み上げていることは相手に伝わり、警戒されます。新人のうちは型どおりに話し、慣れてきたら自分の言葉に置き換えていく進め方が現実的です。
架電の適切な時間帯はありますか?
業種によりますが、一般的には始業直後と昼休み直後、終業間際は避けるのが無難です。相手が電話に出やすい時間帯は業種で大きく異なるため、自社の架電記録から「繋がった時間帯」を集計して判断するのが最も確実です。
資料を送ってくださいと言われたらどうしますか?
多くは断りの定型句ですが、そのまま送って終わりにしないでください。「どの点にご関心がありますか」と一つ質問を挟むと、本当に関心があるのか、断りたいだけなのかが分かります。関心がある場合は、その点に絞った資料を送ると次につながります。
スクリプトはどのくらいの頻度で更新しますか?
月1回を目安にしてください。更新の材料は、その月に出た新しい断り文句と、うまくいった切り返しです。担当者が個別に見つけた良い返し方を集めて共有する場を作ると、スクリプトが組織の資産として育ちます。
