更新日:2026年8月16日
インサイドセールスの立ち上げとは、訪問せずに電話やメールで見込み客と接触し、商談を作る役割を社内に新設することです。
人を採用すれば動き出す、というものではありません。接触するリスト、話す内容、渡す先、測る指標を用意する必要があります。
準備がないまま採用すると、担当者は何をすればよいか分からないまま数か月を過ごします。
立ち上げ前に確認すること
| 確認項目 | 足りていない場合 |
|---|---|
| 接触するリードが月100件以上あるか | 先に獲得施策を強化する |
| 営業が商談を受けられる余力があるか | 商談を作っても受けられない |
| リードの記録が残る仕組みがあるか | SFA/CRM または表計算を用意 |
| 商談の定義が決まっているか | 営業と合意する |
| 商材の説明が資料化されているか | 説明できない |
1つ目が最も重要です。接触対象が月に数十件しかない状態で専任を置いても、稼働が埋まりません。
1か月目:準備
- 対象リードを決める:どの状態のリードに接触するか
- 優先順位を決める:問い合わせ、資料DL、休眠、展示会名刺
- トークの型を作る:冒頭20秒と、断り文句への返し5つ
- 記録項目を決める:接触日、結果、次回予定日
- 営業への引き渡し基準を決める:何をもって商談とするか
- 既存の営業に同行する:商材と顧客の理解
最初の1か月は数字を求めないでください。この期間に商材を理解できていないと、その後の会話が成立しません。
2か月目:接触を始める
| 週 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1週目 | 問い合わせ対応から開始 | 当日中の初回接触 |
| 2週目 | 資料DL者への接触を追加 | 1日20〜30件 |
| 3週目 | 断られた理由を分類し、トークを修正 | — |
| 4週目 | 休眠リードへの接触を追加 | — |
最も反応の良い「問い合わせ対応」から始めてください。成功体験がないまま新規開拓に入ると、担当者が続きません。
3か月目:型を固める
| やること | 内容 |
|---|---|
| KPIを確定する | 活動量、接触数、商談化数 |
| 商談化率を測る | セグメント別に |
| 営業からフィードバックを受ける | 渡した商談の質 |
| トークを更新する | よく出る断り文句への返し |
| 対象リードを見直す | 反応の良い層に寄せる |
3か月目で「どの層に、どう話すと商談になるか」の型ができていれば成功です。
KPIの置き方
| 時期 | KPI | 理由 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 同行数、資料の理解 | 数字を求めない |
| 2か月目 | 架電数、接触数 | 活動量を確保する |
| 3か月目 | 商談化数、商談化率 | 成果を測り始める |
| 4か月目以降 | 商談化数、受注への寄与 | 質まで含めて評価 |
最初から商談化数で評価しないでください。達成できず、担当者が疲弊します。
営業との分担
| 工程 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| リード獲得 | マーケティング | — |
| 初回接触・状況確認 | インサイドセールス | 数をこなす必要がある |
| 商談の設定 | インサイドセールス | — |
| 初回商談以降 | 営業 | 商材の深い説明が要る |
| 時期尚早の相手 | インサイドセールスが保持 | 継続的に接触 |
| 失注後の追客 | インサイドセールス | 営業では放置されがち |
「失注後の追客」を担当範囲に入れてください。営業は新規商談を優先するため、失注案件は放置されます。ここは商談化しやすい領域です。
人数と体制
| 月間リード数 | 推奨人数 |
|---|---|
| 100〜200件 | 1名(兼務でも可) |
| 200〜500件 | 1〜2名 |
| 500件以上 | 2〜3名 |
1人目は経験者を採るより、社内から異動させるほうがうまくいくことが多いです。商材と顧客を既に理解しているためです。
よくある失敗
| 失敗 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 接触対象が枯れる | リードが少ない | 獲得施策を先に強化 |
| 担当者が辞める | 断られ続けて疲弊 | 反応の良い層から始める、成果を可視化 |
| 営業が商談を受けない | 事前に合意していない | 商談の定義を文書化 |
| 記録が残らない | 入力の手間 | 項目を減らす |
| テレアポ部隊になる | 量だけを追っている | 商談化率を指標に入れる |
| 成果が出ず1〜2か月で判断される | 立ち上げ期間の共有不足 | 3か月は準備期間と説明する |
「テレアポ部隊になる」は最も避けたい失敗です。件数だけを追うと、質の低い商談が量産され、営業からの信頼を失います。
まとめ
- 立ち上げ前に接触対象が月100件以上あるかを確認する
- 1か月目は準備と商材理解。数字を求めない
- 2か月目は問い合わせ対応から始める
- 3か月目で型が固まっていれば成功
- KPIは時期で変える
- 失注後の追客を担当範囲に入れる
- 件数だけを追うとテレアポ部隊になる
よくある質問
インサイドセールスは何人から始めるべきですか?
1名からで構いません。月間のリードが100〜200件程度であれば、兼務でも運用できます。重要なのは人数より、接触するリードが十分にあるかどうかです。リードが少ない状態で複数名を配置しても、稼働が埋まりません。
経験者を採用すべきですか?
1人目は社内からの異動が有効なことが多いです。商材と顧客をすでに理解しているため、立ち上げが速くなります。外部から採用する場合は、商材理解に1か月程度かかることを前提にスケジュールを組んでください。
成果はいつから出ますか?
3か月目からが目安です。1か月目は準備と商材理解、2か月目で接触を開始し、3か月目で型が固まります。この期間を社内で共有しておかないと、1〜2か月目の数字を見て「効果がない」と判断されてしまいます。
テレアポとの違いは何ですか?
テレアポはアポイントの件数を目的とし、リストに対して機械的に架電します。インサイドセールスは受注につながる商談を作ることが目的で、相手の状況を把握し、時期が来ていなければ育成に戻します。件数だけをKPIにすると、実態はテレアポになり、営業からの信頼を失います。商談化率を必ず指標に入れてください。