更新日:2026年8月16日
顧客満足度は提供した商品やサービスへの満足の度合いを、NPSは他者に薦めたいと思う度合いを測る指標です。
どちらも顧客の評価を数値化するものですが、測っているものが違います。満足していても薦めない顧客はいます。
BtoBでは回答者が担当者1人に偏るため、数値の扱いに注意が必要です。
2つの違い
| 顧客満足度(CS) | NPS | |
|---|---|---|
| 聞くこと | どのくらい満足しているか | 薦めたいと思うか |
| 尺度 | 5段階、7段階など | 0〜10の11段階 |
| 算出 | 平均点、満足の割合 | 推奨者の割合 − 批判者の割合 |
| 分かること | 現状の評価 | 継続・紹介の可能性 |
| タイミング | 購入後、対応後 | 定期的 |
| 数値の範囲 | — | −100〜+100 |
NPSは「推奨者(9〜10)の割合」から「批判者(0〜6)の割合」を引いて算出します。中立者(7〜8)は計算に含めません。
どちらを使うか
| 目的 | 適した指標 |
|---|---|
| 個別の対応の評価 | 顧客満足度 |
| 継続・解約の予測 | NPS |
| 紹介が生まれるか | NPS |
| サポート品質の改善 | 顧客満足度 |
| 全社の指標として追う | NPS |
| 導入直後の評価 | 顧客満足度 |
両方使う必要はありません。目的を1つ決めて、それに合うほうを選んでください。
設問の作り方
| 要素 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 主設問 | 「サービスはいかがですか」 | 「◯◯を同業の方に薦める可能性はどのくらいですか(0〜10)」 |
| 理由 | (なし) | 「その点数の理由を教えてください」(自由記述) |
| 具体項目 | (なし) | 機能/サポート/価格/導入支援の個別評価 |
| 設問数 | 20問 | 5問以内 |
| 所要時間 | 記載なし | 「1分で終わります」 |
点数だけを集めても改善できません。「その点数の理由」を必ず聞いてください。ここに改善の材料があります。
回答率を上げる
- 設問を5問以内にする:所要時間を明記
- 送るタイミングを選ぶ:導入から3か月、成果が出た直後
- 誰が読むかを伝える:「担当者だけでなく責任者も確認します」
- 回答が何に使われるか書く:「今後の改善に反映します」
- 回答後に必ず反応する:お礼と、指摘への対応
- 担当者経由で依頼する:関係のある人から頼む
「回答後に必ず反応する」が次回の回答率を左右します。送っても何も起きなければ、次から回答されません。
BtoBでの注意点
| 注意 | 内容 | 対処 |
|---|---|---|
| 回答者が担当者1人 | 組織の評価とは限らない | 複数名に送る |
| 担当者と決裁者で評価が違う | 使う人と払う人が別 | 役割別に集計 |
| 回答数が少ない | 統計的な比較が難しい | 推移と自由記述を重視 |
| 遠慮して高めに回答 | 取引関係があるため | 匿名にする選択肢 |
| 異動・退職で回答者が変わる | 前回と比較できない | 回答者を記録 |
「担当者は満足しているが決裁者は費用対効果に疑問」という状態は珍しくありません。担当者の高評価だけを見て安心しないでください。
数値を改善につなげる
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① | 点数別に分けて自由記述を読む |
| ② | 批判者(0〜6)の指摘を分類する |
| ③ | 件数の多い指摘から対処する |
| ④ | 個別に返信する(特に低評価) |
| ⑤ | 対応した内容を全体に共有する |
| ⑥ | 次回の調査で変化を見る |
低評価の回答者には個別に連絡してください。不満を伝えてくれた相手は、対応次第で評価が変わります。放置すると解約に直結します。
数値だけを追わない
| 起きること | 原因 |
|---|---|
| 点数が上がるが解約が減らない | 回答者が満足層に偏っている |
| 担当者に忖度が働く | 評価に使われている |
| 調査自体が形骸化 | 回答後に何も起きない |
| 低評価の顧客が回答しない | 不満な相手ほど答えない |
「不満な顧客ほど回答しない」ことに注意してください。回答率が低い状態での高得点は、実態を表していない可能性があります。
まとめ
- CSは満足の度合い、NPSは薦めたい度合い
- NPSは推奨者の割合 − 批判者の割合
- 点数だけでなく理由を必ず聞く
- 設問は5問以内、回答後は必ず反応する
- BtoBは回答者が担当者1人に偏る点に注意
- 低評価の回答者には個別に連絡する
- 不満な顧客ほど回答しない。回答率も併せて見る
よくある質問
NPSはどのように計算しますか?
0〜10の11段階で「薦める可能性」を聞き、9〜10を推奨者、7〜8を中立者、0〜6を批判者に分類します。そのうえで「推奨者の割合 − 批判者の割合」で算出し、−100〜+100の範囲の値になります。中立者は計算に含めません。
NPSの目安はどのくらいですか?
業種と商材によって大きく変わるため、他社の数値と比較する意味は薄いです。自社の前回調査と比べて、上がったか下がったかを見てください。加えて、批判者の自由記述に何が書かれているかのほうが、数値そのものより改善に直結します。
BtoBで注意すべき点はありますか?
回答者が担当者1人に偏ることです。担当者は日常的に使っていて満足していても、費用を払っている決裁者は費用対効果に疑問を持っている、という状態は珍しくありません。可能であれば担当者と決裁者の両方に送り、役割別に集計してください。
低評価の回答があった場合はどうしますか?
個別に連絡してください。不満をわざわざ書いてくれた相手は、対応次第で評価が変わる可能性があります。放置すると解約に直結します。連絡の際は反論せず、まず内容を確認し、対処できることとできないことを分けて伝えてください。対応した内容は、可能であれば他の顧客にも共有すると信頼につながります。