更新日:2026年8月16日
商談記録とは、顧客との商談で聞いたこと・決めたこと・次にすることを、後から誰でも参照できる形で残すことです。
記録が残っていないと、担当者が変わった時点で顧客との関係がゼロに戻ります。
ただし「詳しく書け」と言っても続きません。項目を絞り、書く時間を短くすることが定着の条件です。
残すべき項目
| 分類 | 項目 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 事実 | 日時、相手(氏名・部署・役職) | 誰と話したか |
| 話した内容の要点 | 経緯が追える | |
| 相手が言った言葉(そのまま) | 解釈を挟まない | |
| 判断 | 課題 | 提案の前提 |
| 検討時期 | 優先度の判断 | |
| 決定手順(誰の承認が要るか) | 稟議の見通し | |
| 競合の状況 | 差別化の材料 | |
| 次 | 次回のアクションと期日 | 放置を防ぐ |
| 相手側の宿題 | — |
「相手が言った言葉をそのまま残す」ことが重要です。「前向きだった」という要約より、「今期の予算はもう決まっているので来期になる」という発言のほうが、後から読んで判断できます。
使われない記録の原因
| 原因 | 症状 | 対処 |
|---|---|---|
| 項目が多すぎる | 入力に時間がかかり後回しになる | 5〜7項目に絞る |
| 自由記述だけ | 検索・集計できない | 選択肢を併用 |
| 要約しすぎ | 後から判断できない | 発言をそのまま残す |
| 解釈が混ざる | 事実か推測か分からない | 事実と所感を分ける |
| 書く場所が複数 | どこを見ればよいか分からない | 1か所に統一 |
| 読まれない | 書く意味を感じない | 会議で参照する |
「読まれない」が最も根本的な原因です。書いても誰も見ないと分かれば、入力は止まります。
書き方の型
時間をかけずに使える記録にするための型です。
| 項目 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 相手 | 氏名・部署・役職 | 製造部 佐藤課長、情報システム部 田中氏 |
| 状況 | 現状を事実で | リスト作成を手作業。週5時間 |
| 課題 | 相手の言葉で | 「担当者しかやり方が分からない」 |
| 時期 | いつまでに | 来期(4月)までに体制を作りたい |
| 決定 | 誰が決めるか | 部長承認。情報システム部の審査あり |
| 競合 | — | 2社と比較中。社名は不明 |
| 次 | いつ、何を | 8/25までに稟議用の試算表を送付 |
この7項目なら5分で書けます。詳細な議事録は不要で、次に読む人が判断できれば十分です。
事実と所感を分ける
| 事実(残す) | 所感(分けて書く) |
|---|---|
| 「来期の予算で検討する」と発言 | 前向きだと思われる |
| 料金表を2回確認した | 価格が気になっている様子 |
| 他社名は出さなかった | 比較していない可能性 |
| 部長が途中で退席した | 関心が低いかもしれない |
所感を書くこと自体は有用です。ただし事実と混ぜると、後から読む人が判断を誤ります。欄を分けてください。
記録から分かること
| 集計 | 分かること |
|---|---|
| 失注理由の分布 | どこで負けているか |
| 商談期間の平均 | 長期化していないか |
| 接触回数 | 何回で決まるか |
| 頻出する課題 | 訴求すべき内容 |
| よく出る競合 | 誰と比較されているか |
| 決裁者の役職 | 誰に届けるべきか |
| 決定手順のパターン | 必要な資料 |
「頻出する課題」は記事や資料の企画に直結します。複数の商談で同じことを聞かれるなら、それは資料にすべき内容です。
入力を続けるための工夫
- 商談直後に書く:移動中や終了直後。翌日には忘れる
- 選択肢を用意する:業種、課題、失注理由はプルダウン
- 入力項目を減らす:使っていない項目は削除
- 会議で記録を参照する:書く意味が生まれる
- 音声入力を許容する:整った文章を求めない
- 未入力を可視化する:期限超過の一覧
「会議で記録を参照する」が最も効きます。上長が記録を見ずに口頭で報告を求めていると、記録は形骸化します。
引き継ぎでの使い方
| 引き継ぐ相手 | 必要な情報 |
|---|---|
| 後任の営業 | これまでの経緯、相手の課題、決定手順、約束したこと |
| カスタマーサクセス | 受注時に約束したこと、期待している成果、社内体制 |
| マーケティング | 失注理由、頻出する課題、競合 |
| 上長 | 進捗、リスク、支援が必要な点 |
受注時に約束したことをカスタマーサクセスに引き継がないと、期待値がずれて解約につながります。
まとめ
- 記録がないと担当者交代で関係がゼロに戻る
- 相手が言った言葉をそのまま残す
- 事実と所感を分ける
- 項目は5〜7個に絞る
- 商談直後に書く
- 会議で記録を参照すると入力が続く
- 受注時に約束したことは必ず引き継ぐ
よくある質問
商談記録には何を書けばよいですか?
相手・状況・課題・時期・決定手順・競合・次のアクションの7項目です。この範囲なら5分程度で書けます。詳細な議事録は必要ありません。次に読む人が「この相手はどういう状況で、次に何をすべきか」を判断できれば十分です。
記録が続きません。
原因は項目が多すぎるか、記録が読まれていないかのどちらかです。前者は入力項目を5〜7個に絞ってください。後者のほうが根本的で、上長が記録を見ずに口頭報告を求めている状態だと、書く意味が失われます。会議で記録を画面に出して進めるようにすると、入力が定着します。
要約して書いてもよいですか?
相手の発言はそのまま残してください。「前向きだった」という要約より、「今期の予算はもう決まっているので来期になる」という発言のほうが、後から読んで判断できます。要約は書き手の解釈が入るため、時期や条件といった重要な情報が失われます。
記録はどこに残すべきですか?
1か所に統一してください。SFAやCRMがあればそこに、なければ表計算ソフトでも構いません。重要なのは場所が1つであることで、個人のメモ帳やメールの下書きに散らばっていると、担当者が変わった時点で参照できなくなります。