更新日:2026年8月16日
パートナー営業とは、自社で直接販売するのではなく、代理店や協業先を通じて商品・サービスを販売する仕組みのことです。
自社の営業を増やさずに販売の接点を広げられるのが利点です。
ただし契約しただけでは売れません。パートナーの大半は稼働せず、実際に売るのは一部に限られます。
形態の違い
| 形態 | 関係 | 報酬 | 責任 |
|---|---|---|---|
| 紹介(リファラル) | 見込み客を紹介するだけ | 紹介料 | 自社が販売 |
| 販売代理 | パートナーが販売 | 販売手数料 | 自社が契約主体 |
| 再販 | パートナーが仕入れて販売 | 仕切り価格の差額 | パートナーが契約主体 |
| OEM | 自社製品を相手ブランドで | — | 相手が全て |
始めるなら「紹介」からです。相手の負担が最も軽く、契約や請求の設計も簡単です。
パートナーの探し方
| 候補 | 理由 | 接点 |
|---|---|---|
| 既存顧客 | 商材を理解している | 既存の関係 |
| 隣接領域の事業者 | 同じ顧客層を持つ | 業界の集まり |
| 士業・コンサル | 経営課題を把握している | 紹介 |
| 制作会社・システム会社 | 導入支援ができる | — |
| 業界特化の事業者 | その業界に強い | — |
| 同業(非競合領域) | 対応できない案件を回し合う | — |
「同じ顧客層を持ち、商材が競合しない」相手が最適です。顧客層が違うと紹介が発生しません。
稼働しない原因
| 原因 | 対処 |
|---|---|
| 商材を理解していない | 説明資料、勉強会 |
| 売り方が分からない | トークスクリプト、提案資料 |
| 報酬が見合わない | 報酬水準の見直し |
| 自社商材のほうが利益が大きい | 組み合わせ提案の設計 |
| 紹介先が思いつかない | 対象となる顧客の条件を具体的に示す |
| 紹介後の流れが不明 | 紹介から受注までの手順を明示 |
| 担当者が変わった | 定期的な接触 |
「紹介先が思いつかない」が最も多い原因です。「困っている会社があれば紹介してください」では動きません。「従業員50〜300名で、営業が5名以下の製造業」のように条件を具体化してください。
報酬の設計
| 方式 | 内容 | 適する形態 |
|---|---|---|
| 紹介料(一時金) | 紹介1件・受注1件につき定額 | 紹介 |
| 販売手数料(率) | 受注額の◯% | 販売代理 |
| 継続報酬 | 契約が続く限り毎月 | 継続課金型の商材 |
| 仕切り価格 | 卸値との差額がパートナーの利益 | 再販 |
| 段階制 | 販売実績に応じて率が上がる | — |
継続課金型の商材では、継続報酬にするとパートナーが解約防止に協力します。一時金だけだと、売った後の関与がなくなります。
立ち上げの手順
- ① 直販で売れる型を作る:自社で売れないものはパートナーにも売れない
- ② 対象となる顧客の条件を明文化する:業種、規模、課題
- ③ 説明資料と提案資料を用意する:パートナーがそのまま使えるもの
- ④ 紹介から受注までの手順を決める:誰が、いつ、何をするか
- ⑤ 少数のパートナーで試す:3〜5社
- ⑥ 実績が出てから広げる
①を飛ばさないでください。自社の営業が売り方を確立していない商材は、パートナーには絶対に売れません。
支援の仕組み
| 支援 | 内容 | 頻度 |
|---|---|---|
| 商材の勉強会 | 機能、対象、他社との違い | 初回+更新時 |
| 提案資料の提供 | そのまま使える形で | 随時更新 |
| 同席商談 | パートナーと一緒に訪問 | 立ち上げ期 |
| 問い合わせ窓口 | 技術的な質問への回答 | 随時 |
| 実績の共有 | 他のパートナーの成功例 | 四半期 |
| 定期連絡 | 状況確認 | 月次 |
立ち上げ期の同席商談が最も効きます。1〜2件同席すると、パートナー側で売り方が掴めます。
直販との住み分け
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 担当領域 | 地域、業種、企業規模で分ける |
| 重複時のルール | 先に登録したほうを優先 |
| 案件の登録 | パートナーが事前に登録する仕組み |
| 直販への切り替え | どういう場合に自社が引き取るか |
| 価格 | パートナー経由と直販で差を付けるか |
「重複時のルール」を先に決めてください。同じ顧客に自社とパートナーが同時に接触すると、信頼を失います。
まとめ
- 始めるなら紹介(リファラル)から
- 同じ顧客層を持ち、商材が競合しない相手が最適
- 稼働しない最多の原因は紹介先が思いつかない
- 対象顧客の条件を具体的に明文化する
- 継続課金型なら継続報酬にする
- 自社で売れない商材はパートナーにも売れない
- 重複時のルールを先に決める
よくある質問
パートナーは何社くらい集めるべきですか?
数より稼働する社数が重要です。実務では、契約したパートナーの大半は稼働せず、売上の大部分を一部が生みます。まず3〜5社で試し、実際に紹介が発生する条件を掴んでから広げてください。多数と契約しても、支援の工数が分散するだけになります。
パートナーが動いてくれません。
最も多い原因は「紹介先が思いつかない」ことです。「困っている会社があれば紹介してください」では動きません。「従業員50〜300名で、営業が5名以下の製造業」のように条件を具体化し、あわせて紹介後の流れ(誰が、いつ、何をするか)を明示してください。
報酬はどのくらいが妥当ですか?
商材の利益率と、パートナーの関与度によります。紹介するだけなら低め、提案から導入支援まで担うなら高めが基本です。継続課金型の商材では、一時金より継続報酬にするとパートナーが解約防止に協力するため、双方にとって有利になります。
直販と競合しませんか?
ルールを先に決めれば避けられます。地域・業種・企業規模で担当領域を分ける、パートナーが案件を事前に登録する仕組みを作る、重複時は先に登録したほうを優先する、といった取り決めです。同じ顧客に自社とパートナーが同時に接触すると、顧客からの信頼を失うため、ここは曖昧にしないでください。