更新日:2026年8月16日
1人マーケティングとは、専任または兼務の担当者1名で、集客から商談創出までを担う体制のことです。
中小企業ではこれが標準的な体制です。専任すらおらず、営業や総務との兼務であることも珍しくありません。
この状況で最も重要なのは「何をやるか」より「何を捨てるか」です。全部やろうとすると、どれも中途半端になります。
最初にやること
| 順 | やること | 理由 | 工数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 計測を整える | これがないと何も判断できない | 数日 |
| 2 | 既存顧客・失注先を整理する | 最も確実な接触先 | 数日 |
| 3 | 問い合わせへの対応を速くする | 今あるリードを取りこぼさない | 即日 |
| 4 | フォームを改善する | 変更が小さく効果が大きい | 1日 |
| 5 | 料金・事例のページを整える | 検討中の相手が見る | 1週間 |
| 6 | 記事を書き始める | 中期の基盤 | 継続 |
1〜4は数日で終わり、効果もすぐ出ます。記事を書き始める前に、今あるものを整えてください。
捨ててよいもの
| 施策 | 捨ててよい理由 |
|---|---|
| SNSの毎日投稿 | BtoBでは効果が読めず、工数が大きい |
| 全施策の網羅 | 1人では投下量が分散する |
| 完璧なペルソナ設計 | 受注実績から簡易に作れば足りる |
| 詳細なカスタマージャーニー | — |
| 複雑なMAのシナリオ | 1本動けば十分 |
| 月次の詳細レポート | 見る人がいなければ不要 |
| ABテスト | 件数が足りず判断できない |
| 動画制作 | 工数が大きい |
「やらないこと」を明文化してください。決めておかないと、上司や他部署からの依頼で工数が削られます。
時間配分の目安
| 業務 | 週の割合 | 内容 |
|---|---|---|
| コンテンツ制作 | 40% | 記事、資料 |
| 既存リードへの接触 | 20% | メール配信、掘り起こし |
| サイト改善 | 15% | フォーム、導線、料金ページ |
| 計測・分析 | 10% | 数値確認、報告 |
| 広告運用 | 10% | 出稿、調整 |
| その他 | 5% | — |
分析に時間をかけすぎないでください。1人体制では、分析より実行に時間を割いたほうが成果が出ます。
外注する・しないの判断
| 業務 | 外注 | 理由 |
|---|---|---|
| 記事の執筆 | 一部 | 企画と確認は社内。独自情報が要る |
| デザイン・制作 | する | 専門性が高く、頻度が低い |
| 広告運用 | 検討 | 少額なら自社、規模が大きければ外注 |
| 計測の設定 | する | 技術的で、一度きり |
| 資料のデザイン | する | — |
| 企画・戦略 | しない | 社内でしか決められない |
| 顧客への接触 | しない | — |
「一度きりで専門性が高いもの」を外注してください。継続的に発生する業務を全部外注すると、社内にノウハウが残りません。
続けるための仕組み
- 作業を型にする:記事の構成、確認項目をテンプレート化
- 週の固定枠を作る:「毎週火曜の午前は記事を書く」
- 本数を減らしてでも頻度を守る:月2本を1年続ける
- 中間指標を上司に共有する:成果が出る前の説明
- やらないことを明文化する:依頼を断る根拠
- 記録を残す:担当が変わっても続けられるように
優先順位の付け方
| 判断軸 | 高い | 低い |
|---|---|---|
| 効果までの時間 | 短い | 長い |
| 工数 | 小さい | 大きい |
| 既存資産の活用 | 活用できる | ゼロから |
| 継続の必要性 | 一度で済む | 毎回発生する |
| 他への波及 | 他施策にも効く | 単独 |
「工数が小さく、効果が早く、既存のものを活用できる」施策から着手してください。フォーム改善、失注先への再接触、料金ページの整備がこれに該当します。
まとめ
- 1人体制では「何を捨てるか」が最も重要
- 着手は計測 → 既存顧客の整理 → 問い合わせ対応 → フォーム改善
- 記事を書き始める前に今あるものを整える
- やらないことを明文化する
- 分析より実行に時間を割く
- 外注は一度きりで専門性が高いもの
- 本数を減らしてでも頻度を守る
よくある質問
マーケティング担当が1人の場合、何から始めるべきですか?
計測を整えることからです。どのページが見られ、どこからCVしているかが分からない状態では、何をしても効果が判断できません。次に、既存顧客と失注先の整理、問い合わせへの対応速度の改善、フォーム改善と続けてください。この4つは数日で終わり、効果も早く出ます。
SNSはやらなくてよいのですか?
1人体制では優先度が低くなります。BtoBでは効果が読みにくく、毎日投稿する工数が大きいためです。同じ時間を記事や資料に使ったほうが、検索経由の流入という形で資産が残ります。ただし業界によってはSNSでの情報収集が一般的な場合もあるため、自社の顧客がどこで情報を得ているかで判断してください。
外注はどこまで使うべきですか?
一度きりで専門性が高い業務を外注してください。計測の設定、デザイン制作、資料のデザインなどが該当します。逆に、企画・戦略と顧客への接触は社内で持ってください。継続的に発生する業務を全部外注すると、社内にノウハウが残らず、外注を止めた時点で何も動かなくなります。
成果が出ず、社内で理解を得られません。
時期に応じた中間指標で共有してください。1〜3か月は公開本数とリード数、3〜6か月は流入と順位、6か月以降で商談数です。あわせて「やらないこと」を明文化し、なぜその施策を選んでいるかを説明できる状態にしておくと、他部署からの依頼で工数が削られることも減ります。