更新日:2026年8月16日
医療・介護業界へのBtoBマーケティングとは、病院・クリニック・介護施設などを顧客として、設備・システム・人材・消耗品などを提供する企業の集客活動のことです。
この業界の特徴は意思決定に関わる人が多く、予算の周期が決まっていることです。
また表現に関する規制や配慮が他業界より多く、記事や広告の書き方に注意が要ります。
意思決定の構造
| 施設 | 決裁の中心 | 関わる人 |
|---|---|---|
| 個人クリニック | 院長 | 事務長、看護師長 |
| 中〜大規模病院 | 事務長、経営企画 | 各部門長、医師、看護部、情報システム |
| 医療法人グループ | 本部 | 各施設 |
| 介護施設(単独) | 施設長 | 管理者、ケアマネジャー |
| 介護グループ | 本部 | — |
規模で決裁者がまったく違います。個人クリニックは院長に届けば決まりますが、病院は事務部門を通す必要があります。
予算の周期
| 要素 | 影響 |
|---|---|
| 年度予算 | 年度初めに大きな投資が動く |
| 診療報酬・介護報酬の改定 | 制度改定の前後で投資判断が変わる |
| 補助金・助成金 | 採択の時期に導入が集中する |
| 決算期 | — |
制度改定と補助金の時期を把握しておくと、接触のタイミングが読めます。これらは公開情報から確認できます。
現場が重視すること
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 業務の負担が減るか | 人手不足が慢性的 |
| 既存の業務フローを大きく変えないか | 変更の負担が大きい |
| 職員が使えるか | ITに不慣れな職員もいる |
| 安全性 | — |
| 同業での導入実績 | 同規模・同種別の施設 |
| トラブル時の対応 | 24時間稼働の現場もある |
「同規模・同種別の施設での実績」が最も重視されます。病院とクリニック、特養と有料老人ホームでは事情が違います。
表現上の注意
- 効果を断定しない:「必ず」「絶対に」を使わない
- 医療広告に関する規制を確認する:医療機関向けの表現でも配慮が要る
- 個人情報・患者情報の扱いに触れる場合は慎重に
- 制度の説明は時点を明記する:報酬改定で変わる
- 誇張した数値を使わない
- 体験談の扱いに注意する
適用される規制は提供する商材によって異なります。医療機器や医薬品に関わる場合は別途規制があるため、記事や広告を出す前に法務や専門家に確認してください。
Webでの接点
| 狙う語 | 検討度 | 例 |
|---|---|---|
| 課題 × 施設種別 | 高い | 「介護 記録 効率化」 |
| 制度対応 | 高い | 「◯◯加算 要件」 |
| 補助金 | 高い | 「◯◯補助金 対象」 |
| 費用 | 高い | 「◯◯システム 費用」 |
| 比較 | 高い | 「◯◯システム 比較」 |
| 一般語 | 低い | 「介護システム」 |
制度・加算・補助金に関する語は検討度が高くなります。対応が必要になって調べている状態です。
サイトに載せるべき情報
| 情報 | なぜ必要か |
|---|---|
| 対応できる施設の種別・規模 | 適合するか判断できる |
| 導入実績(種別別・規模別) | 最も重視される |
| 費用の目安 | 予算化に必要 |
| 導入までの期間 | 年度計画に組み込む |
| サポート体制と対応時間 | 24時間稼働の現場向け |
| 既存システムとの連携 | — |
| 制度改定への対応方針 | 継続的に使えるか |
| セキュリティ・情報管理 | — |
「制度改定への対応方針」を書いている企業は少なく、差になります。報酬改定のたびに使えなくなるのでは、と懸念されます。
接触の設計
| 手段 | 適性 | 注意 |
|---|---|---|
| 展示会・学会 | 高い | 業界特化の場が多い |
| 業界団体・協会 | 高い | — |
| 専門メディアへの掲載 | 高い | — |
| 既存顧客からの紹介 | 高い | 横のつながりが強い |
| 電話 | 中 | 現場は多忙。時間帯に配慮 |
| 訪問 | 中 | — |
| メール | 中 | — |
横のつながりが強い業界です。1施設で成果が出ると、同業への紹介が生まれやすくなります。
まとめ
- 規模で決裁者が違う(院長か、事務部門か)
- 制度改定と補助金の時期が投資判断に影響する
- 最も重視されるのは同規模・同種別の実績
- 効果を断定しない。規制は商材により異なるため専門家に確認
- 制度・加算・補助金の語は検討度が高い
- 制度改定への対応方針を明記すると差になる
- 横のつながりが強く、紹介が生まれやすい
よくある質問
医療機関へのアプローチで気をつけることは何ですか?
規模によって決裁者がまったく違います。個人クリニックは院長に届けば決まりますが、中規模以上の病院では事務長や経営企画が窓口になり、各部門長や情報システム部門の確認も入ります。最初に「導入を決める際はどなたの承認が必要か」を確認してください。
表現の規制はどこまで気をつけるべきですか?
提供する商材によって適用される規制が異なります。医療機器や医薬品に関わる場合は特に注意が必要です。共通して言えるのは、効果を断定しない、誇張した数値を使わない、制度の説明には時点を明記する、という点です。記事や広告を出す前に、法務や専門家に確認してください。
接触のタイミングはいつがよいですか?
年度予算の編成期、制度改定の前後、補助金の採択時期が動きやすい時期です。診療報酬・介護報酬の改定は投資判断に大きく影響し、対応が必要になったタイミングで検索や問い合わせが増えます。これらの時期は公開情報から把握できるため、あらかじめ接触の計画を立てておいてください。
実績が少ない場合はどうすればよいですか?
同規模・同種別の実績を1件でも作ることを優先してください。この業界では「同じ種別の施設で使われているか」が最も重視されます。病院とクリニック、特養と有料老人ホームでは事情が違うため、種別が違う実績は判断材料になりにくい面があります。1件できれば、横のつながりから紹介が生まれやすい業界でもあります。