更新日:2026年8月16日
顧客インタビューとは、顧客に個別に時間をもらい、購買の経緯・利用実態・評価を詳しく聞き取る調査手法です。
アンケートでは「なぜそう思うか」が分かりません。数字は出ても、理由が見えません。
インタビューは手間がかかりますが、1件から得られる情報量が圧倒的に多い手法です。
誰に聞くか
| 対象 | 分かること | 優先度 |
|---|---|---|
| 最近受注した顧客 | 検討の経緯、決め手 | 高 |
| 成果が出ている顧客 | 価値の実態、事例の候補 | 高 |
| 解約した顧客 | 不満の核心 | 最高 |
| 失注した相手 | 選ばれなかった理由 | 高 |
| 使いこなせていない顧客 | つまずく箇所 | 高 |
| 長期継続の顧客 | 継続の理由 | 中 |
解約した顧客が最も本音を話します。関係が終わるため遠慮がなくなります。断られることも多いですが、聞けたときの情報量は最大です。
依頼の仕方
- 目的を伝える:「今後の改善のため」
- 所要時間を明示する:「30〜45分」
- 質問を事前に送る:構えずに済む
- 営業担当以外が聞くと伝える:本音が出やすい
- 公開の有無を明確にする:社内利用のみか、事例にするか
- 断りやすくする:「難しければ結構です」
「公開しない」ことを明示すると、話してもらえる範囲が広がります。事例化が目的なら、最初からそう伝えてください。
聞く順番
| 順 | 聞くこと | 狙い |
|---|---|---|
| 1 | 導入前の状況 | 事実の確認 |
| 2 | 困っていたこと | 課題 |
| 3 | その影響(時間・費用) | 課題の大きさ |
| 4 | どう探したか | 流入経路 |
| 5 | 何と比較したか | 競合 |
| 6 | 決め手 | 受注理由 |
| 7 | 社内でどう説明したか | 稟議の実態 |
| 8 | 導入時に苦労した点 | オンボーディング |
| 9 | 今の使い方 | 活用実態 |
| 10 | 使っていない機能とその理由 | — |
| 11 | 変わったこと | 成果 |
| 12 | あと1つ改善するとしたら | 要望 |
7の「社内でどう説明したか」が最も実務に直結します。次の顧客に渡す資料が決まります。
深掘りの仕方
| 相手の発言 | 深掘りの質問 |
|---|---|
| 「便利です」 | 「具体的にどの場面で助かりますか」 |
| 「効率化されました」 | 「以前は何時間かかっていましたか」 |
| 「使いやすい」 | 「他と比べてどこが違いましたか」 |
| 「決め手は価格です」 | 「他社はいくらでしたか」 |
| 「社内で説明しました」 | 「どんな資料を使いましたか」 |
| 「特に問題ありません」 | 「あと1つ挙げるとしたら」 |
抽象的な言葉が出たら、必ず具体化してください。「便利」「効率化」のままでは施策に使えません。
聞き方の注意
| やってはいけない | 理由 |
|---|---|
| 否定・反論する | 以後話されなくなる |
| 誘導する | 「◯◯がよかったですよね」 |
| 自社の説明を始める | 聞く場であって説明の場ではない |
| 沈黙を埋める | 考えている時間を奪う |
| 質問を重ねる | 1問ずつ |
| メモに集中しすぎる | 録音の許諾を取る |
反論しないでください。一度でも否定されると、相手は当たり障りのない話しかしなくなります。
記録と整理
| やること | 内容 |
|---|---|
| 録音する | 許諾を得たうえで |
| 発言をそのまま残す | 要約しない |
| 事実と解釈を分ける | — |
| 複数人分を並べる | 共通点を探す |
| 分類する | 課題、決め手、要望 |
| 引用可否を記録する | 公開の範囲 |
発言をそのまま残してください。「便利だと言っていた」より「リスト作成が週5時間から30分になった」のほうが使えます。
施策への反映
| 聞いた内容 | 反映先 |
|---|---|
| 導入前の課題 | 記事のテーマ、広告の訴求 |
| どう探したか | 注力する流入経路 |
| 何と比較したか | 比較記事、競合分析 |
| 決め手 | トップページの訴求、営業トーク |
| 社内での説明の仕方 | 稟議用資料 |
| 導入時の苦労 | オンボーディングの改善 |
| 使っていない機能 | 活用支援、機能改善 |
| 要望 | 開発の優先順位 |
1回のインタビューで、記事・資料・営業・開発のすべてに反映できる情報が得られます。
何件聞くか
| 件数 | 分かること |
|---|---|
| 1〜2件 | 仮説の材料 |
| 3〜5件 | 共通点が見え始める |
| 5〜10件 | 傾向として扱える |
| 10件以上 | セグメント別の違いも見える |
まず3〜5件を目安にしてください。1件では個別の事情か傾向かが判断できません。
まとめ
- アンケートでは「なぜ」が分からない
- 解約した顧客が最も本音を話す
- 営業担当以外が聞くと本音が出やすい
- 最も実務に直結するのは「社内でどう説明したか」
- 抽象的な言葉は必ず具体化する
- 反論しない。一度で話されなくなる
- 発言をそのまま残す。要約しない
よくある質問
誰にインタビューすべきですか?
解約した顧客が最も価値のある情報を持っています。関係が終わるため遠慮なく話してもらえます。断られることも多いですが、聞けたときの情報量は最大です。次いで、最近受注した顧客(検討の経緯が鮮明)、使いこなせていない顧客(つまずく箇所が分かる)です。
本音を話してもらうにはどうすればよいですか?
営業担当以外が聞き、公開しないことを明示してください。日頃の関係があるぶん、担当者本人には言いにくいことがあります。また「今後の改善のため」と目的を伝え、相手の発言を否定しないでください。一度でも反論すると、以後は当たり障りのない話しかされなくなります。
何を聞けばよいですか?
「社内でどう説明しましたか」が最も実務に直結します。次の顧客に渡すべき資料が決まるためです。加えて、導入前の状況と困っていたこと、その影響(時間・費用)、どう探したか、何と比較したか、決め手、今の使い方、あと1つ改善するとしたら、を順に聞いてください。
何件くらい聞けばよいですか?
まず3〜5件を目安にしてください。1〜2件では、それが個別の事情なのか傾向なのかが判断できません。3〜5件聞くと共通点が見え始め、5〜10件で傾向として扱えるようになります。ただし1件でも、抽象的な想像で施策を決めるよりは確実です。