更新日:2026年8月16日
Cookie規制とは、ブラウザの仕様変更や各国の法制度によって、Cookieを使った利用者の追跡が制限されている一連の動きのことです。
背景にあるのはプライバシー保護の要請です。本人の知らないところで行動が追跡され、広告に利用されることへの問題意識から進んできました。
影響を受けるのは主にサイトをまたいだ追跡で、自社サイト内の計測がすべて使えなくなるわけではありません。
2種類のCookie
| ファーストパーティCookie | サードパーティCookie | |
|---|---|---|
| 発行元 | 訪問しているサイト自身 | 別のドメイン(広告事業者など) |
| 主な用途 | ログイン状態、カート、自社サイト内の計測 | サイトをまたいだ追跡、リターゲティング広告 |
| 規制の影響 | 比較的小さい | 大きい |
| 今後 | 引き続き使える見込み | 制限が進んでいる |
影響を強く受けるのはサードパーティCookieです。自社サイト内の行動計測は、引き続き行えます。
何が起きているか
| 動き | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| ブラウザの追跡防止機能 | Safari・Firefox が既定でサードパーティCookieを制限 | サイトをまたいだ追跡が困難に |
| Cookie の保存期間の短縮 | ブラウザによって数日〜数週間に制限されることがある | 長期の計測ができない |
| 同意取得の要件 | 法制度により、取得前の同意が必要な場合がある | 同意しない利用者は計測できない |
| 個人情報保護法の改正 | 第三者提供に関する規律の強化 | データ連携の設計に影響 |
規制の内容は国・地域と時期によって変わります。自社が対象となる規制については、法務や専門家に確認してください。
マーケティングへの影響
| 施策 | 影響 | 程度 |
|---|---|---|
| リターゲティング広告 | 対象者を捕捉しにくくなる | 大 |
| 広告のCV計測 | 一部のCVが計測されない | 大 |
| アトリビューション分析 | 経路の全体像が追えない | 大 |
| 自社サイト内の行動計測 | 継続できるが期間が短くなることがある | 中 |
| メール経由の識別 | 影響は小さい | 小 |
| 自社が保有する顧客データ | 影響なし | なし |
自社が保有するデータの価値が相対的に上がっています。メールアドレスや商談履歴のように、自社で取得・保有しているデータは規制の影響を受けません。
取るべき対応
- ① 同意取得の仕組みを整える:Cookieの利用目的を示し、同意を得る
- ② プライバシーポリシーを更新する:取得する情報と利用目的を明記
- ③ 自社データの取得を増やす:資料ダウンロード、ウェビナー、問い合わせ
- ④ メールを軸にした接点を作る:Cookieに依存しない識別
- ⑤ サーバー側での計測を検討する:ブラウザ側の制限を受けにくい
- ⑥ 計測できない前提で指標を設計する:完全な計測を前提にしない
③④が本質的な対応です。追跡技術の代替を探すより、自社で直接データを得られる接点を増やすほうが持続します。
同意取得の実務
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表示のタイミング | 初回訪問時 |
| 示すこと | どんな情報を、何のために取得するか |
| 選択肢 | 同意する/しない(拒否も選べるように) |
| 同意前の扱い | 同意が必要なCookieは同意まで発行しない |
| 記録 | いつ、誰が、何に同意したか |
| 変更の手段 | 後から設定を変えられるようにする |
「同意する」しか選べない表示は、同意を得たことにならないという考え方が一般的です。拒否できる形にしてください。
BtoBサイトでの現実的な進め方
| 優先 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | プライバシーポリシーの整備 | 法令対応の基礎 |
| 2 | 同意取得の仕組み | 対象となる規制がある場合は必須 |
| 3 | 自社データ取得の接点を増やす | 資料DL、ウェビナー |
| 4 | メール軸の育成に移す | Cookieに依存しない |
| 5 | サーバー側計測の検討 | 広告の計測精度を戻す |
1と2は法令対応、3以降は施策の話です。順番を逆にしないでください。
誤解されやすい点
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| Cookieが全部使えなくなる | 自社サイト内のファーストパーティCookieは引き続き使える |
| アクセス解析ができなくなる | できる。ただし精度と期間に制限が出る |
| 来訪企業の判定ができなくなる | IPアドレスによる判定はCookieとは別の仕組み |
| 同意を取れば何でもよい | 利用目的の範囲を超える利用はできない |
| 対応は不要 | 対象となる規制がある場合は法令上の義務が生じる |
IPアドレスによる企業判定は、Cookieを使わない仕組みです。個人を特定するものではないため、Cookie規制とは論点が異なります。ただし取得と利用にあたっては、プライバシーポリシーでの説明が必要です。
まとめ
- Cookie規制の影響が大きいのはサードパーティCookie
- 自社サイト内の計測は引き続き行える(期間に制限が出ることはある)
- リターゲティングと広告のCV計測が特に影響を受ける
- 本質的な対応は自社データの取得を増やすこと
- メール軸の接点はCookieに依存しない
- プライバシーポリシーと同意取得を先に整える
- 具体的な適用可否は法務・専門家に確認する
よくある質問
Cookie規制でアクセス解析はできなくなりますか?
できなくなりません。自社サイト内の計測に使うファーストパーティCookieは引き続き利用できます。ただしブラウザによって保存期間が短縮される場合があり、長期間にわたって同じ訪問者を追跡することは難しくなっています。訪問者数が実態より多めに計上される傾向がある点にも注意してください。
何から対応すればよいですか?
プライバシーポリシーの整備と、同意取得の仕組みからです。これは法令対応にあたる部分で、施策の話より先に来ます。そのうえで、資料ダウンロードやウェビナーなど、自社で直接データを取得できる接点を増やしてください。
リターゲティング広告はもう使えませんか?
完全に使えなくなるわけではありませんが、捕捉できる対象が減り、効果は以前より低下しています。対応としては、配信期間を短めに設定する、自社が保有する顧客リストを使った配信に切り替える、といった方法があります。
来訪企業の可視化はCookie規制の影響を受けますか?
IPアドレスから企業を判定する仕組みはCookieを使わないため、規制の直接的な影響は受けません。ただし取得する情報と利用目的については、プライバシーポリシーで説明しておく必要があります。また、リモートワークの普及により自宅や共用回線からのアクセスが増え、判定できる割合そのものは以前より下がっている点は考慮してください。