更新日:2026年8月16日
マーケティング予算とは、集客から商談創出までの活動に一定期間で投下する費用の総額と、その配分のことです。
決め方に絶対的な正解はありません。ただし「昨年と同じ」で決めていると、成果と予算が結びつきません。
BtoBでは効果が出るまで数か月かかる施策が多く、その期間をどう説明するかが実務上の課題になります。
総額の決め方
| 方法 | 計算 | 適する場面 |
|---|---|---|
| 売上比率 | 売上の◯% | 安定している事業 |
| 目標からの逆算 | 必要な商談数 × 商談単価 | 目標が明確 |
| 前年比 | 前年 ± ◯% | 変化が小さい |
| 競合対抗 | 競合の推定投下量から | 市場を奪う局面 |
| 積み上げ | 施策ごとの必要額を合計 | 施策が固まっている |
「目標からの逆算」が最も説明しやすい方法です。「受注100件が必要 → 商談400件 → 商談単価5万円 → 2,000万円」という形なら、金額の根拠が明確になります。
逆算の手順
| 段階 | 計算 | 例 |
|---|---|---|
| 売上目標 | — | 1.2億円 |
| 受注件数 | 売上 ÷ 単価 | 100件 |
| 商談数 | 受注 ÷ 受注率25% | 400件 |
| うちマーケ由来 | 商談の60% | 240件 |
| 商談単価 | 過去実績から | 5万円 |
| 必要な予算 | 240 × 5万 | 1,200万円 |
商談単価は必ず自社の実績から取ってください。過去に何にいくら使って、商談が何件生まれたかを集計すれば算出できます。
施策への配分
| 分類 | 役割 | 配分の考え方 |
|---|---|---|
| 短期(広告、アウトバウンド) | 今期の数字 | 即効性が要るぶん多め |
| 中期(SEO、資料、ウェビナー) | 半年以降 | 継続的に一定額 |
| 基盤(サイト、ツール、計測) | 土台 | 固定費として |
| 検証(新しい施策) | 将来の柱 | 全体の1〜2割 |
「検証枠」を確保してください。すべてを既存施策に配分すると、効果が落ちたときに代替手段がありません。
人件費を計上する
| 費用 | 含めるか | 理由 |
|---|---|---|
| 広告出稿費 | 含める | — |
| ツールの利用料 | 含める | — |
| 外注費(制作、運用代行) | 含める | — |
| 社内の人件費 | 含めるべき | 工数が最大の費用のことが多い |
| 展示会の出展料 | 含める | — |
| 展示会の当日人件費 | 含めるべき | 見落とされやすい |
人件費を計上しないと、施策間の比較ができません。SEOは出稿費ゼロですが、記事1本に数時間かかります。これを無視すると「SEOは無料」という誤った判断になります。
効果が出る前の説明
| 時期 | 報告する指標 | 言い方 |
|---|---|---|
| 1〜3か月 | 公開本数、リード数、表示回数 | 「基盤ができつつある」 |
| 3〜6か月 | 順位、流入、商談化率 | 「流入が伸び始めた」 |
| 6〜12か月 | 商談数、受注 | 「成果が出始めた」 |
| 12か月〜 | 受注単価、投資回収 | 「回収できている」 |
最初から受注で報告しないでください。数字が出ず、施策そのものが止められます。時期に応じた中間指標で進捗を示してください。
予算を削られたとき
- 削る順番を自分で提示する:何を止めると何が減るかを示す
- 継続すべきものを守る:止めると再開に時間がかかるもの(SEO、育成)
- 止めやすいものから止める:広告は止めても再開できる
- 影響を数字で示す:「◯万円削ると商談が月◯件減る」
- 既存顧客の施策を優先する:費用が低く成果が確実
SEOやコンテンツは止めると再開に時間がかかります。削るなら広告など、止めても再開できるものからにしてください。
見るべき指標
| 指標 | 計算 | 使いどころ |
|---|---|---|
| リード獲得単価 | 費用 ÷ リード数 | 施策の効率 |
| 商談単価 | 費用 ÷ 商談数 | 施策間の比較 |
| 受注単価(CAC) | 費用 ÷ 受注数 | 最終的な効率 |
| LTV / CAC | — | 投資の妥当性 |
| 投資回収期間 | CAC ÷ 月次の粗利 | いつ回収できるか |
| 施策別の受注寄与 | — | 配分の見直し |
施策間の比較は「商談単価」または「受注単価」で行ってください。リード獲得単価だけだと、質の低い経路に予算が寄ります。
まとめ
- 総額は目標からの逆算が最も説明しやすい
- 商談単価は自社の実績から取る
- 配分は短期・中期・基盤・検証の4分類
- 検証枠を1〜2割確保する
- 人件費を必ず計上する(SEOは無料ではない)
- 効果が出る前は時期に応じた中間指標で報告する
- 削るなら再開できるものから
よくある質問
マーケティング予算は売上の何%が適正ですか?
業種・成長段階・商材によって大きく変わるため、一律の比率に意味はありません。既存顧客からの売上が中心の事業と、新規獲得で伸ばす事業ではまったく違います。比率で決めるより、目標とする受注件数から逆算するほうが根拠が明確になり、社内でも説明しやすくなります。
効果が出る前に予算を削られそうです。
時期に応じた中間指標で進捗を示してください。1〜3か月なら公開本数とリード数、3〜6か月なら順位と流入、6か月以降で商談数です。最初から受注で報告すると数字が出ず、施策自体が止められます。あわせて「削ると何が減るか」を数字で示してください。
人件費は予算に含めるべきですか?
含めるべきです。含めないと施策間の比較ができません。SEOやコンテンツ制作は出稿費がゼロですが、記事1本に数時間かかります。これを無視すると「SEOは無料」という誤った判断になり、実際には広告より高くついていることもあります。
どの施策に配分すべきか分かりません。
短期・中期・基盤・検証の4つに分けて考えてください。短期(広告など)は今期の数字、中期(SEO・資料など)は半年以降、基盤(サイト・ツール・計測)は土台、検証は将来の柱です。特に検証枠を全体の1〜2割確保しておくと、既存施策の効果が落ちたときの代替手段を持てます。