更新日:2026年8月16日
マーケティング担当の引き継ぎとは、担当者が交代する際に、運用中の施策・データ・権限・判断の経緯を後任に渡すことです。
引き継ぎが不十分だと、それまでの施策が止まり、数か月分の蓄積が失われます。
特にアカウントの権限と、判断の経緯が抜けやすい項目です。
引き継ぐもの
| 分類 | 内容 | 抜けやすさ |
|---|---|---|
| アカウント | 解析、広告、CMS、メール配信、ツール | 高い |
| ドメイン・サーバー | 管理会社、更新時期、契約者 | 高い |
| 外注先 | 担当者、契約内容、契約期間 | 中 |
| 運用中の施策 | 何を、どの頻度で | 中 |
| 数値 | 現状の指標、目標 | 低い |
| 判断の経緯 | なぜその施策を選んだか | 最も抜けやすい |
| 進行中の案件 | 記事の制作中、契約更新 | 中 |
| 社内の連絡先 | 関係部署、承認者 | 中 |
「判断の経緯」が最も抜けます。なぜその施策を選び、何を試して何が駄目だったかが残っていないと、後任が同じ失敗を繰り返します。
アカウントの整理
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 管理者権限が誰にあるか | 個人アカウントになっていないか |
| 退職者のアカウント | 削除・権限移管 |
| 共有アカウントの有無 | — |
| 二要素認証の設定先 | 個人の端末になっていないか |
| 支払い方法 | 個人のカードになっていないか |
| 契約者名義 | — |
個人のアカウントや個人のカードで契約している状態は危険です。退職時にアクセスできなくなります。
文書に残すもの
| 文書 | 内容 |
|---|---|
| 施策の一覧 | 何を運用しているか、頻度、担当 |
| アカウント一覧 | サービス名、管理者、用途 |
| 外注先一覧 | 会社名、担当者、契約内容、期間 |
| 数値の推移 | 過去12か月分 |
| 試したことの記録 | 成功・失敗の両方 |
| 判断の経緯 | なぜその方針か |
| 更新の手順 | 記事の公開手順など |
| 社内の連絡先 | 承認者、関係部署 |
「試したことの記録」を必ず残してください。失敗の記録がないと、後任が同じことを試して同じ時間を失います。
引き継ぎの手順
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1か月前 | 引き継ぎ資料の作成を開始 |
| アカウントの棚卸し | |
| 2週間前 | 後任と並走(実際の作業を一緒に) |
| 外注先への紹介 | |
| 1週間前 | 権限の移管 |
| 進行中の案件の引き渡し | |
| 交代時 | — |
| 交代後1か月 | 質問に答えられる状態を保つ |
並走の期間を確保してください。資料を渡すだけでは、実際の運用は引き継げません。
後任が最初にやること
- アカウントにログインできるか全部確認する
- 現状の数値を出す:自分で集計してみる
- 運用中の施策を一覧にする
- 外注先と顔合わせをする
- 止まっている施策がないか確認する
- すぐに大きく変えない:まず現状を理解する
交代直後に方針を大きく変えないでください。前任者の判断には理由があったはずで、それを知らずに変えると同じ問題に戻ります。
属人化を防ぐ
| 対策 | 内容 | 平時からやる |
|---|---|---|
| アカウントを会社名義にする | 個人にしない | ○ |
| 権限を複数人に付与する | 1人だけにしない | ○ |
| 手順を文書化する | — | ○ |
| 数値を自動でレポート化する | — | ○ |
| 試したことを記録する | — | ○ |
| 外注先の窓口を複数にする | — | ○ |
引き継ぎのときに慌てて作るのではなく、平時から残す運用にしてください。
引き継ぎ後に止まりやすい施策
| 施策 | 止まる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 記事の制作 | 手順とネタが分からない | 型とネタリストを残す |
| メール配信 | 設定が分からない | 手順書 |
| 広告運用 | 設定の意図が不明 | 判断の経緯を残す |
| MAのシナリオ | 複雑で把握できない | 図と文書 |
| レポート | 集計方法が分からない | 自動化 |
複雑な設定ほど引き継がれずに止まります。平時から単純に保つことが、引き継ぎ対策にもなります。
まとめ
- 最も抜けやすいのは判断の経緯
- アカウントを個人名義にしない
- 試したことの記録(失敗も)を残す
- 並走の期間を確保する
- 後任はすぐに大きく変えない
- 平時から残す運用にする
- 複雑な設定ほど引き継がれずに止まる
よくある質問
引き継ぎで最も抜けやすいものは何ですか?
判断の経緯です。アカウントや施策の一覧は渡されても、「なぜその施策を選んだか」「何を試して駄目だったか」が残っていないことが多くあります。これがないと、後任が同じ失敗を繰り返し、数か月を無駄にします。
アカウントの引き継ぎで注意することは?
個人名義になっていないかを確認してください。個人のメールアドレスで登録している、個人のカードで支払っている、二要素認証が個人の端末に紐づいている、といった状態だと、退職後にアクセスできなくなります。平時から会社名義にし、権限を複数人に付与しておいてください。
後任は最初に何をすべきですか?
アカウントに全部ログインできるか確認し、現状の数値を自分で集計してください。渡された資料を読むだけでなく、自分で数字を出すと理解が深まります。あわせて、交代直後に方針を大きく変えないでください。前任者の判断には理由があったはずです。
引き継ぎ後に施策が止まってしまいます。
手順の文書化と、設定の単純化が対策です。記事制作は型とネタリスト、メール配信とレポートは手順書または自動化、MAのシナリオは図と文書を残してください。特に複雑な設定は引き継がれずに止まるため、平時から単純に保つことが引き継ぎ対策にもなります。