更新日:2026年8月10日
ABM(アカウントベースドマーケティング)で成果が出るかどうかは、施策より先にターゲット企業の選定で決まります。狙う企業を間違えたまま丁寧にアプローチしても、受注にはつながりません。
この記事では、最初のターゲットリストをどう作るかを4ステップで説明します。ABMそのものの考え方はABMとは?をご覧ください。
なぜリストの精度がすべてを決めるのか
ABMは1社あたりにかける手間が大きい手法です。個別の提案資料を作り、複数の担当者に接触し、数か月かけて関係を作ります。1社あたりのコストが高いぶん、対象を間違えたときの損失も大きくなります。
広く配信するマーケティングなら、対象がずれていても反応が無いだけで済みます。ABMでは、ずれた100社に半年かけると、その半年がまるごと失われます。
- アプローチしても「担当部署が違う」と言われることが多い
- 商談にはなるが、予算規模が自社の商材と合わない
- 営業が「この会社に売れる気がしない」と言う
ステップ1:既存顧客から条件を出す
理想の顧客像を想像で決めてはいけません。すでに受注している企業を並べて、共通点を探します。
見るのは「良い顧客」だけ
全顧客ではなく、次の条件に当てはまる10〜30社に絞ってください。
- 継続して取引がある
- 利益率が高い
- 導入がスムーズだった
- 紹介や事例協力をしてくれた
並べる項目
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 業種 | 特定業種に偏っていないか |
| 従業員数・売上規模 | 意思決定の速さと予算に直結する |
| 所在地 | 訪問できる範囲かどうかで進め方が変わる |
| 導入のきっかけ | 何が起きたときに検討が始まったか。ここが最も重要 |
| 担当部署・役職 | 誰に届けば話が進むか |
| 既存の課題 | 導入前に何に困っていたか |
「導入のきっかけ」に共通点が見つかると、リストの精度が大きく上がります。たとえば「担当者が退職して業務が回らなくなった」「システムのサポートが終了した」など、検討が始まる出来事が特定できれば、同じ状況の企業を探せます。
ステップ2:条件から母集団を作る
出した条件で、該当する企業をまとめて抽出します。手作業で名簿を作るのではなく、企業データベースを使うのが現実的です。
- 業種(できるだけ細かい分類で)
- 従業員数・資本金の範囲
- 所在地(都道府県・市区町村)
- 設立年(若い企業ほど新しい仕組みを入れやすい、など)
- 自社サイトの有無・更新状況
- 採用の有無(拡大局面かどうかの手がかりになる)
この段階では1,000〜3,000社まで広げて構いません。次のステップで絞ります。
ステップ3:優先順位をつけて100社に絞る
母集団に点数をつけて並べます。項目は多くせず、3〜4個で十分です。
| 観点 | 配点の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 条件の一致度 | 40点 | ステップ1で出した条件に何個当てはまるか |
| 接点の有無 | 30点 | 過去の問い合わせ、展示会での名刺交換、紹介があるか |
| 行動シグナル | 20点 | 自社サイトへの訪問、資料ダウンロード、求人の掲載など |
| 到達しやすさ | 10点 | 問い合わせ窓口があるか、担当者名が分かるか |
上位から100社を選びます。100社という数字は、営業1人が3〜6か月で追える現実的な上限という目安です。2人なら200社、と体制に合わせて調整してください。
条件が同じ2社があったとき、自社サイトの料金ページを先週見ている企業のほうが明らかに優先度が高くなります。誰が来訪したかを把握する仕組みがあると、この観点を点数に入れられます。詳しくは来訪企業の可視化とは?をご覧ください。
ステップ4:営業と合意してから動き出す
作ったリストは、必ず営業と一緒に確認してください。マーケティング側だけで決めると、実行段階で止まります。
- 営業が「この会社は無理」と判断する企業は外す。理由を聞いて条件に反映する
- 誰がどの企業を担当するかを決める
- 接触の順序を決める(既存接点あり → 行動シグナルあり → 条件一致のみ)
- いつ見直すかを決める。3か月に1度の棚卸しが目安
- 反応が無かった企業は外し、新たにシグナルの出た企業を入れる
- 失注した企業も消さない。数か月後に検討が再開することがあります
- 入れ替えの記録を残すと、条件そのものの精度が上がっていきます
よくある失敗
- 大企業ばかり選ぶ:憧れで選ぶと、決裁までの階層が深く、半年かけても進みません。既存顧客の規模帯に合わせてください
- リストが多すぎる:500社を1人で追うと、結局は一斉メールと変わらない運用になります
- 条件を増やしすぎる:10個の条件をすべて満たす企業は数社しか残りません。3〜4個で十分です
- 一度作って放置する:企業の状況は変わります。3か月ごとに見直してください
まとめ
- ABMの成果はリストの精度でほぼ決まる
- 条件は想像ではなく既存の優良顧客から出す。特に「導入のきっかけ」
- 母集団を1,000〜3,000社作り、点数をつけて100社に絞る
- 営業と合意してから動き、3か月ごとに入れ替える
よくある質問
ABMのターゲットリストは何社くらいが適切ですか?
営業1人あたり100社前後が目安です。ABMは1社ごとに個別の対応をする手法のため、多すぎると通常の一斉配信と変わらない運用になります。まず100社で3か月運用し、追いきれるかどうかを見てから調整してください。
ターゲット企業の条件はどうやって決めればよいですか?
既存の優良顧客10〜30社を並べ、業種・従業員数・所在地・導入のきっかけ・担当部署の共通点を探します。想像で理想像を作るのではなく、実際に受注できている企業から逆算するのが確実です。特に「何が起きたときに検討が始まったか」に共通点が見つかると精度が上がります。
リストはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
3か月に1度が目安です。反応の無かった企業を外し、自社サイトへの訪問や求人掲載などのシグナルが出た企業を追加します。ただし失注した企業は消さないでください。数か月後に検討が再開することがあります。
中小企業でもABMはできますか?
できます。むしろ対象を絞る必要がある中小企業のほうが向いています。全国の企業に広く配信する予算が無いぶん、勝てる可能性の高い100社に集中するほうが効率的です。専任のチームがなくても、営業1人とマーケティング担当1人で始められます。
grip space は、既存顧客の傾向から条件を作り、全国500万社の企業データから該当企業を抽出して、その企業がサイトに来たら通知する、という一連の流れを1つの画面で行えます。ターゲット企業の選定からお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。
どの企業がサイトに来ているかの把握はBtoB向けアクセス解析ツール grip spaceでご利用いただけます。機能と料金はリンク先でご確認ください。


