更新日:2026年8月16日
LTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)とは、1人(1社)の顧客が取引を始めてから終えるまでに、自社にもたらす利益の総額です。1回あたりの売上ではなく、取引が続く期間全体で見る点が特徴で、広告にいくらまで投資できるかを判断する基準になります。
新規獲得のコストが上がり続けるなかで、1件あたりいくらまで払えるかを決める根拠として使われます。
この記事では計算方法と、実際に数字を上げるための打ち手を説明します。
LTVの計算方法
もっとも簡単な式は次の形です。
| 式の要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 平均購入単価 | 1回あたりの取引額 | 月額 5 万円 |
| 購入頻度 | 年間の取引回数 | 12 回(月額課金) |
| 継続期間 | 取引が続く年数 | 3 年 |
| LTV | 単価 × 頻度 × 期間 | 5 万 × 12 × 3 = 180 万円 |
サブスクリプション型では、継続期間の代わりに解約率(チャーンレート)を使う式のほうが実態に合います。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 月額単価 | 5 万円 |
| 月次解約率 | 2% |
| 平均継続月数 | 1 ÷ 0.02 = 50 か月 |
| LTV | 5 万 × 50 = 250 万円 |
さらに粗利率をかけると、実際に手元に残る金額になります。売上ベースの LTV だけで判断すると、原価の高い商材で採算を誤ります。
CACとの関係
LTV は単体では意味を持ちません。顧客獲得コスト(CAC)と並べて初めて、投資判断の材料になります。
| 指標 | 意味 | 目安 |
|---|---|---|
| LTV | 顧客が生涯もたらす利益 | |
| CAC | 顧客 1 件の獲得にかかった費用 | |
| LTV / CAC | 投資の効率 | 3 以上が健全とされる |
| 回収期間 | CAC を回収するまでの月数 | 12 か月以内が目安 |
LTV / CAC が 3 を下回るなら、獲得に使いすぎているか、継続期間が短すぎます。逆に極端に高い場合は、広告への投資が不足している可能性があります。
LTVを上げる打ち手
| 方向 | 打ち手 | 効き方 |
|---|---|---|
| 単価を上げる | 上位プラン、オプションの提案 | 即効性がある |
| 頻度を増やす | 関連商材のクロスセル | 商材の幅に依存する |
| 期間を延ばす | 解約の予兆を捉えて先回りする | 最も効果が大きい |
| 原価を下げる | 運用工数の削減 | 粗利ベースの LTV が上がる |
BtoB で最も効くのは継続期間です。月次解約率が 2% から 1% に下がるだけで、平均継続月数は 50 か月から 100 か月になり、LTV は倍になります。単価を倍にするより現実的です。
解約の予兆を捉える
継続期間を延ばすには、解約されてから気づくのでは間に合いません。次のような行動は、解約が近いサインとして扱えます。
- 管理画面へのログイン頻度が落ちている
- 主要機能の利用が止まっている
- 担当者が交代した
- 問い合わせや要望が途絶えた
- 請求書の支払いが遅れがちになった
grip space では、顧客ごとのサイト来訪やメールの反応が記録されるため、接点が途絶えた顧客を一覧で抽出できます。解約の申し出を受けてから動くのではなく、兆候の段階でフォローに回せます。
BtoBでの注意点
| 論点 | 注意すること |
|---|---|
| 取引の単位 | 個人ではなく企業単位で数える。担当者交代で切れないように |
| 複数部署 | 同じ企業の別部署は、別契約でも同一顧客として見る |
| 初期費用 | 初回のみの収益は LTV に含めるか、分けて管理するか決める |
| 計測期間 | 契約が長期化するため、実績が溜まるまで推計値を使う |
まとめ
- LTV は顧客が取引期間全体でもたらす利益の総額
- サブスクでは解約率から平均継続月数を出す式が実態に合う
- CAC と並べ、LTV / CAC が 3 以上かで投資判断する
- BtoB では継続期間を延ばすのが最も効果が大きい
よくある質問
LTVの計算式を教えてください。
基本は「平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間」です。サブスクリプション型では「平均購入単価 ÷ 解約率」で求めるほうが実態に合います。月額5万円・月次解約率2%なら、5万円 ÷ 0.02 = 250万円です。さらに粗利率をかけると、実際に残る利益ベースのLTVになります。
LTVとCACはどのくらいの比率が理想ですか?
LTV / CAC が 3 以上が健全とされています。3 を下回る場合は獲得コストが高いか継続期間が短すぎます。逆に極端に高い場合は、広告への投資が不足していて成長機会を逃している可能性があります。
LTVを上げるには何から手をつけるべきですか?
BtoBでは継続期間を延ばすのが最も効果的です。月次解約率が2%から1%に下がると平均継続月数は50か月から100か月になり、LTVは倍になります。単価を倍にするより現実的です。
BtoBでLTVを計算するときの注意点は?
個人ではなく企業単位で数えてください。担当者が交代しても取引が続くなら継続とみなします。また同じ企業の別部署との契約を別顧客として数えると、実態より低いLTVになります。