更新日:2026年8月10日
KPI を決めたのに、結局レポートを作るだけで終わっている。BtoB のWeb担当者からよく聞く話です。原因のほとんどは、KPI が売上とつながっていないことにあります。
KPIツリーは、売上のような最終目標を分解し、毎日追える数字まで落とし込むための図です。この記事では、BtoBサイトを例に作り方を4ステップで説明します。
KPIツリーとは
KPIツリーとは、最終的に達成したい目標(KGI)を、それを構成する要素へ順に分解した図です。上から下へ「何を達成すれば上の数字が動くか」でつながっています。
- KGI:最終目標。例)Web経由の受注金額 年6,000万円
- KSF:KGI達成のカギになる要素。例)商談数を増やす/受注率を上げる
- KPI:KSFを数字で測るもの。例)フォームCV数 月40件、商談化率 30%
順番が大事です。KPI から決めてはいけません。「セッション数を追う」から始めると、セッションが増えても受注が増えない、という状態になります。
作り方 4ステップ
ステップ1:KGI を金額と期限で決める
「認知を広げる」ではKPIに分解できません。「Web経由の受注を年6,000万円」「来期末までに」のように、金額と期限で書きます。平均受注単価が100万円なら、必要な受注は年60件です。
ステップ2:掛け算で分解する
受注60件は、次のように分解できます。
- 受注 60件 = 商談 300件 × 受注率 20%
- 商談 300件 = 有効リード 600件 × 商談化率 50%
- 有効リード 600件 = フォームCV 1,000件 × 有効率 60%
- フォームCV 1,000件 = セッション 200,000 × CVR 0.5%
ここまで分解すると、月あたり セッション16,700/CV 83件/商談25件/受注5件という月次の目標になります。これが日々追う数字です。
ステップ3:足し算の枝も入れる
掛け算だけでは流入元の違いが見えません。セッションは自然検索+広告+メール+直接流入の足し算で分けます。こうしておくと「CVRは変わっていないが広告経由のセッションが減った」といった原因の切り分けができます。
ステップ4:各KPIに担当と確認頻度を決める
ここを決めないと、ツリーは絵で終わります。CVRは週次でWeb担当、商談化率は週次でインサイドセールス、受注率は月次で営業、のように誰がいつ見るかまで書いてください。
BtoBでよく使うKPIの一覧
| 階層 | KPI | 見るときの目安 |
|---|---|---|
| 集客 | セッション数/自然検索の表示回数 | 流入元別に分けて見る。合計だけでは判断できない |
| 集客 | 指名検索数 | 認知施策の効果はここに出やすい |
| 獲得 | フォームCV数・CVR | BtoBサイトのCVRは0.5〜2%が一つの目安 |
| 獲得 | 資料ダウンロード数 | 問い合わせ前段の指標。母数が取れる |
| 獲得 | CPA(獲得単価) | 広告費÷CV数。チャネル別に必ず分ける |
| 育成 | 有効リード率 | 商談につながる質かどうか。営業と定義をすり合わせる |
| 営業 | 商談化率・受注率 | Web側の施策が営業成果に届いているかの接続点 |
| 収益 | LTV/受注単価 | CPAの許容ラインを決める根拠になる |
各指標の意味はWebマーケティングの主要KPI・指標一覧で個別に解説しています。
よくある失敗と直し方
- 20個並べても全部は追えません。各階層1〜2個に絞ってください
- 迷ったら「この数字が動いたら、上の数字が動くか」で判定します
- CV数までで止まっているツリーは、Web部門の中で完結してしまいます
- 商談化率と受注率を必ず入れる。営業に数字をもらう関係を先に作ります
- Web側は「フォーム送信=リード」、営業側は「予算と時期が明確=リード」。ここがズレると議論が噛み合いません
- 先に定義を文章で書いて、両者で合意してください
- CVまではWeb解析、商談から先はSFA、と分断されていると受注率まで追えません
- どの流入から来た人が受注したかを追える状態を先に作るほうが、KPIを増やすより効きます
作ったあとの運用
KPIツリーは月次で見直します。特に次の2つは変わりやすい前提です。
- 平均受注単価:商材構成が変われば必要な受注件数も変わります
- CVR:施策で改善するとセッションの目標が下がります。改善したのに集客目標が据え置きだと現場が疲弊します
また、月次で見るのは「未達の数字」ではなく「未達の原因になった1つ上の階層」です。受注が足りないときに受注率だけを見ても打ち手は出ません。商談数か受注率か、どちらが崩れたかを先に切り分けてください。
まとめ
- KPIツリーはKGI→KSF→KPIの順に作る。KPIから決めない
- 掛け算で分解し、流入元は足し算の枝で分ける
- 各KPIに担当と確認頻度を書く。ここが無いと運用されない
- 商談化率・受注率まで入れて、営業成果とつなげる
よくある質問
KPIツリーはどのくらいの粒度まで分解すればよいですか?
「毎週または毎月、実際に数えられる数字」まで分解できていれば十分です。それ以上細かくすると管理コストのほうが大きくなります。目安として、各階層のKPIは1〜2個、全体で8〜12個に収まる程度が運用しやすい粒度です。
KGIとKPIの違いは何ですか?
KGIは最終的に達成したいゴール(例:Web経由の受注6,000万円)、KPIはその達成度合いを途中で測るための中間指標(例:フォームCV数、商談化率)です。KGIは基本的に1つ、KPIは複数あります。
セッション数をKPIにしてもよいですか?
構いませんが、単独では不十分です。セッションが増えてもCVRが下がれば結果は変わりません。必ず「セッション × CVR = CV数」のように、掛け算の相手とセットで管理してください。また流入元別に分けないと、増減の原因が分かりません。
BtoBサイトのCVRはどのくらいが目安ですか?
問い合わせフォームのCVRで0.5〜2%程度が一つの目安ですが、商材の単価や検討期間で大きく変わります。他社の数値を目標にするより、自社の直近3か月の実績を基準に、改善幅を目標にするほうが実務的です。
grip space は、売上目標から分解したKPIを、実際のアクセス・フォームCV・商談・受注まで一本でつないで確認できます。KPIツリーを作ったあと「その数字を誰がどこで見るか」でお困りでしたら、お気軽にご相談ください。


