更新日:2026年8月7日
フォーム営業は、企業サイトの問い合わせフォームから直接アプローチする手法です。 テレアポや飛び込みに比べて 1件あたりの工数が小さく、 担当者に直接届くのが特徴です。
この手法が改めて注目されているのは、 コロナ禍を経てリモートワークが定着し、 代表電話がつながりにくくなったためです。 出社している人が限られ、 代表番号にかけても取り次いでもらえない、 そもそも誰も出ない、 というケースが増えました。 電話という入口が細くなった分、 フォームという入口の価値が上がっています。
ただ、 「実際どのくらいの反応があるのか」 は、 検索してもなかなか実数が出てきません。 そこで本コラムでは、 当社が自社で運用したフォーム営業の実績を、 そのまま数字で公開します。 良い数字だけを切り取らず、 目標に届かなかった部分も含めて載せています。
フォーム営業とは
フォーム営業とは、 アプローチしたい企業の Web サイトにある問い合わせフォームから営業のメッセージを送る手法です。 メールアドレスを入手しなくても連絡できるため、 名刺交換もリスト購入もしていない企業に接触できます。
- 担当者の力量に左右されない(これが最大のメリット)。 テレアポは話し方や切り返しで結果が大きく変わりますが、 フォーム営業は文面が同じなら誰が送っても同じです。 新人でもベテランと同じ条件でアポが取れます
- リモートワークで代表電話がつながらない相手にも届く。 出社状況に左右されず、 メールと同じように担当部署へ渡る
- 送信作業が相手の営業時間に縛られない。 自社の都合の良い時間に準備しておける(ただし深夜に届いても読まれないので、 送信時刻は営業時間内に合わせるのが基本です)
- 問い合わせフォームは担当部署に届く導線なので、 代表電話より通りやすいことがある
- 1件あたりの工数が小さく、 自動化しやすい
- 一方で相手にとっては望まない連絡である。 送り方を誤ると企業イメージを損なう
最後の点が重要です。 「営業お断り」 と明記しているフォームに送る、 同じ企業に何度も送る、 といった運用は関係を壊します。 送らない仕組みを持っているかが、 実務では成果と同じくらい大事になります。
最大の落とし穴は「リスト件数 = 送信数」ではないこと
フォーム営業の計画で最も誤解されるのが、 リストの件数がそのまま送信数にならないことです。
当社の実績では、 リストに載った 3,877社のうち、 実際にアプローチできたのは 2,025社でした。 約半分(52%)しか送れていません。
- 問い合わせフォームが設置されていない(電話番号のみ、 メールアドレスのみ)
- フォームの形式が特殊で自動送信に対応できない
- 「営業目的の送信はお断り」等の記載を検出して、 送信を中止した
- 送信を試みたが、 フォームのエラー等で完了しなかった
※ 今回の実績では、 配信日が未到来の企業と、 重複送信防止による除外はいずれも 0件でした。 つまり 3,877社と 2,025社の差は、 すべて「送ろうとしたが送れなかった」企業です。
つまり「5,000社のリストがあるから 5,000社にアプローチできる」 という前提で計画を立てると、 半分で止まります。 目標を立てるときは、 リスト件数ではなく送信できる見込み数で逆算してください。
自社実績の公開:CV率と歩留率
ここからが本題です。 当社が自社サービスの新規開拓のために運用したフォーム営業の実績を公開します。
対象: Web サイト制作・デザイン業界/東京都 期間: 約 1ヶ月半 ※ 当社 1社・1 業界の実績です。 業界や文面によって数字は大きく変わるため、 一般的な水準を示すものではありません。
なお 「自動化」 といっても、 完全に放置で回るわけではありません。 実際の運用はこうでした。
- 送信は1日100件のペース
- そのうち自動送信で完了するのは 6割程度
- 残りの 4割は手動でフォームを送信していた(フォームの形式が特殊で自動送信できないもの)
- これに送信結果の確認、 反応があった企業への対応、 文面の調整が加わる
- 合計で1日1時間程度
ただし手動といっても、 一から書くわけではありません。 grip space の画面から本文をコピーすると、 会社名の差し込みや計測用パラメータの付与が済んだ状態で取り出せるので、 貼り付けて送るだけです。 送信後の履歴も同じ画面に残ります。
つまり「全自動」ではなく「大半が自動」です。 それでも 100件を人手だけで送るのとは工数が桁違いで、 テレアポに比べれば大幅に軽くなります。 1日1時間を確保できるかが、 この手法を続けられるかの分かれ目になります。
- リスト企業数3,877社
- ↓ 52%(フォーム無し・送信不可・NG検出などを除外)
- アプローチ完了2,025社
- ↓ CV率 0.40%
- CV(問い合わせ)8件
- ↓ 歩留率 12.5%
- 受注1件
| 指標 | 実績 | 計算 |
|---|---|---|
| アプローチ完了 | 2,025社 | リスト 3,877社の 52% |
| CV率 | 0.40% | 8件 ÷ 2,025社 |
| CV 数 | 8件 | — |
| 歩留率 | 12.5% | 受注 1件 ÷ CV 8件 |
| 受注 | 1件 | — |
目標として設定していた CV率は 0.50% でした。 実績は 0.40% なので、 目標の 8割です。 届いてはいませんが、 大きく外してもいません。
CV単価・獲得単価はいくらか
2,000社への送信は、 1日100件のペースで約 1ヶ月です。 そこでgrip space の月額利用料 1ヶ月分を投じたと考えて、 1件あたりのコストを出してみます。
自動アプローチはスタンダードプラン(月額 25,000円・税込)でご利用いただけます。
| 項目 | 金額 / 件数 | 単価 |
|---|---|---|
| ツール利用料(1ヶ月) | 25,000円 | — |
| アプローチ | 2,025社 | 1社あたり 約 12円 |
| CV(問い合わせ) | 8件 | CV単価 約 3,100円 |
| 受注 | 1件 | 獲得単価 25,000円 |
CV単価 約3,100円、 獲得単価 25,000円。 BtoB のリード獲得コストとしては、 かなり低い部類です。 リスティング広告で BtoB のリードを1件獲得する場合、 数万円から、 単価の高い領域では数十万円かかることも珍しくありません。 フォーム営業代行に外注した場合も1通あたりの単価が発生します。
- 上の単価はツール利用料だけで計算しています
- 実際には1日1時間程度の作業が発生します。 時給換算で月20時間分の人件費が別途かかります
- 受注 1件は母数が小さいため、 獲得単価 25,000円という数字は次の月には大きく変わります
それでも、 ツール利用料の 1ヶ月分で受注 1件という結果は、 投資対効果としては十分に成立しています。
この数字をどう読むか
① CV率は「送信できた数」で割る
CV率 0.40% は、 リスト 3,877社ではなく、 実際に送れた 2,025社で割った値です。 リスト件数で割ると 0.21% になり、 半分以下に見えてしまいます。
どちらが正しいということではなく、 何で割ったかを明示していない数字は比較できないということです。 他社の CV率を見るときも、 母数が何かを確認してください。
② 歩留率は実数とセットで見る
歩留率 12.5% は、 CV 8件のうち 1件が受注という意味です。 母数が 8件しかないので、 受注が 1件増えれば 25%、 0件なら 0% と大きく振れます。
率だけを取り出して 「歩留率 12.5%」 と語るのは、 この段階では実態を超えた表現になります。 母数が小さいうちは実数で語るのが誠実です。
③ 受注まで到達しているかを見る
フォーム営業の議論は 「何件送って何件返信が来たか」 で終わりがちですが、 本当に見るべきは受注まで残るかです。 反応が多くても受注につながらないなら、 ターゲットか訴求がずれています。
当社の場合は 2,025社のアプローチから受注 1件に到達しました。 件数としては少ないものの、 フォーム営業が受注まで機能する経路であることは確認できています。
成果を左右する 3 つの要素
- 1. リストの質(最も効きます)送信数を増やすより、 送る相手を絞るほうが効果的です。 当社では、 サイトの品質スコアが一定以上の企業を優先する運用に切り替えました。 件数が減っても、 反応する見込みのある企業に集中させるほうが結果が良くなります。
- 2. 文面同じリストでも文面を変えると反応が変わります。 フォーム作成ツールの設置文面と同じで、 「誰の何の課題に効くのか」 が 1行目で伝わるかどうかが分かれ目です。 複数パターンを用意して、 配信ごとに比較してください。
- 3. 送らない仕組み「営業お断り」 の記載があるサイトへの送信中止、 過去に送った企業の除外、 取引先や既存顧客の除外。 これらが無いと、 送信数が増えるほど関係を損ないます。 成果を出す仕組みと同じだけ重要です。
逆に、 効果が小さかったのは送信数を単純に増やすことでした。 リストの質を落として件数を稼いでも、 CV率がそれ以上に下がるため、 CV の絶対数は増えません。
よくある質問
フォーム営業のCV率はどのくらいが目安ですか?
当社の実績では 0.40%(2,025社 → 8件)でした。 ただしこれは当社 1社・1 業界の数字です。 業界・文面・リストの質で大きく変わるため、 他社の数値をそのまま当てはめず、 自社で計測することをおすすめします。
リストの件数がそのまま送信数になりますか?
なりません。 当社では 3,877社中 2,025社(52%)でした。 フォームが無い、 形式が対応できない、 営業お断りの記載を検出して中止した、 といった理由で約半分が対象外になります。
フォーム営業から受注までつながりますか?
当社では CV 8件のうち 1件が受注に至りました(歩留率 12.5%)。 ただし母数が 8件と少ないため、 この率は 1件の増減で大きく動きます。
送りすぎて嫌がられませんか?
その懸念は正当です。 だからこそ送らない仕組みが必要です。 営業お断りの記載を検出したら送信を中止する、 過去 N 日以内に送った企業は除外する、 といった制御を前提に運用してください。
まとめ
- 最大のメリットは担当者の力量に左右されないこと。 文面が同じなら誰が送っても同じ結果になる。
- リスト件数 ≠ 送信数。 当社実績では 3,877社のうち送れたのは 2,025社(52%)。 計画はリスト件数ではなく送信見込み数で立てる。
- CV率 0.40%、 歩留率 12.5%(CV 8件 → 受注 1件)。 CV率は「送信できた数」で割る。 母数が小さいうちは率でなく実数で語る。
- 成果を左右するのはリストの質 → 文面 → 送らない仕組みの順。 送信数を増やすだけでは CV の絶対数は増えない。
- 自動化しても1日1時間程度の運用工数はかかる。 1日100件のうち自動送信で完了するのは 6割で、 残りは手動送信。 完全放置では回らない。
- ツール利用料 1ヶ月分(25,000円)で計算するとCV単価 約 3,100円 / 獲得単価 25,000円。 ただし人件費は別。
grip space は、 ターゲットの選定から企業リストの作成、 フォーム営業の自動送信、 CV・受注までの集計をひとつの画面で行えます。 本記事の数字も、 すべて grip space の管理画面で集計しているものです。 ご相談は以下のフォームからお気軽にどうぞ。
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