更新日:2026年8月16日
ROAS(Return On Advertising Spend = 広告費用対効果)とは、投じた広告費に対して何倍の売上が返ってきたかを表す指標です。「売上 ÷ 広告費 × 100」で計算し、300% なら広告費 1 円につき 3 円の売上が上がったことを意味します。
似た指標に ROI や CPA があり、それぞれ見ている対象が違います。混同すると、儲かっていない広告を「効率が良い」と判断してしまいます。
この記事では違いを整理したうえで、実際の改善にどう使うかを説明します。
ROAS・ROI・CPAの違い
| 指標 | 計算式 | 見ているもの |
|---|---|---|
| ROAS | 売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告費に対する売上 |
| ROI | (利益 − 投資額)÷ 投資額 × 100 | 投資に対する利益 |
| CPA | 広告費 ÷ 獲得件数 | 1 件獲得するのにいくらかかったか |
決定的な違いは、ROAS は売上、ROI は利益を見ている点です。ROAS が高くても原価率が高ければ赤字になります。
| 商材A | 商材B | |
|---|---|---|
| 広告費 | 100 万円 | 100 万円 |
| 売上 | 400 万円 | 200 万円 |
| ROAS | 400% | 200% |
| 粗利率 | 20% | 70% |
| 粗利 | 80 万円 | 140 万円 |
| 収支 | −20 万円 | +40 万円 |
ROAS だけを見れば A のほうが優秀ですが、実際に儲かっているのは B です。粗利率の異なる商材を ROAS で横並びに比べてはいけません。
目標ROASの決め方
目標値は「これくらいあれば良い」という感覚ではなく、粗利率から逆算します。
| ステップ | 計算 | 例 |
|---|---|---|
| 1. 粗利率を出す | (売上 − 原価)÷ 売上 | 40% |
| 2. 損益分岐ROASを出す | 100 ÷ 粗利率 × 100 | 250% |
| 3. 目標利益を上乗せする | 分岐点 × 1.5 など | 375% |
粗利率 40% なら、ROAS 250% で収支トントンです。ここを下回る広告は、売上が立っていても赤字を出しています。
BtoBでの注意点
BtoB では受注までの期間が長く、広告費を使った月と売上が立つ月がずれます。
- 広告経由の問い合わせが受注になるまで数か月かかる。当月の ROAS は実態を表さない
- 1 件の受注額が大きく、少数の受注で数字が乱高下する
- 継続取引になる商材では、初回売上だけで判断すると過小評価になる
このため BtoB では、ROAS 単体ではなくCPA と受注率、LTV を組み合わせて判断するほうが実態に近くなります。LTV とはもあわせてご覧ください。
数字が悪いときの改善順序
| 順序 | 見るところ | よくある原因 |
|---|---|---|
| 1 | コンバージョン計測は正しいか | 重複計測、計測漏れで数字が歪んでいる |
| 2 | どのキャンペーンが悪いか | 全体平均では良く見えても、一部が足を引っ張る |
| 3 | 検索語句は意図と合っているか | 無関係な語句で費用が消えている |
| 4 | ランディングページのCVRは適正か | 流入は取れているが着地で落ちている |
| 5 | 単価や入札が高すぎないか | 競合の入札で相場が上がっている |
最初に計測を疑うのが重要です。Cookie 規制の影響で計測漏れが起きていると、実際より ROAS が低く見えます。対処はコンバージョンAPI(CAPI)とはで扱っています。
まとめ
- ROAS は広告費に対する売上の倍率。ROI は利益、CPA は 1 件あたりの費用
- 粗利率が違う商材を ROAS で横並びに比べない
- 目標 ROAS は粗利率から逆算する。粗利率 40% なら 250% が分岐点
- BtoB では期間のずれがあるため、CPA・受注率・LTV と併せて見る
よくある質問
ROASとROIの違いは何ですか?
ROASは広告費に対する売上の比率、ROIは投資に対する利益の比率です。ROASが高くても原価率が高ければ赤字になり得るため、収益性を判断するにはROIか、粗利を加味したROASを見る必要があります。
目標ROASはどう決めればよいですか?
粗利率から逆算します。「100 ÷ 粗利率 × 100」が損益分岐点で、粗利率40%なら250%です。ここに目標利益を上乗せした値を目標に置いてください。
ROASが高いのに利益が出ないのはなぜですか?
ROASは売上ベースの指標で、原価を考慮していないためです。粗利率が低い商材ではROASが高くても赤字になります。粗利ベースで再計算してください。
BtoBでROASを使うときの注意点は?
広告費を使った月と受注する月がずれるため、当月のROASは実態を表しません。CPAや受注率、LTVと組み合わせて判断してください。