MAツールの比較記事を読むと、BtoB向けの製品とBtoC向けの製品が同じ表に並んでいることがよくあります。しかし BtoBとBtoCでは、追いかける相手も、必要な機能も違います。同じ基準で選ぶと、契約してから「期待した画面が出てこない」ということが起きます。
本コラムでは、BtoBでMAツールを選ぶときに確認すべき点を、BtoCとの違いから整理します。製品そのものの比較は 中小企業向けMAツールおすすめ10選、価格で絞りたい場合は 安いMAツールはどれ?月額と初期費用を公式サイトで確認して比較 をご覧ください。
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BtoBとBtoCで何が違うか
| BtoB | BtoC | |
|---|---|---|
| 追う対象 | 企業(複数の担当者が関与) | 個人 |
| 検討期間 | 数ヶ月〜年単位 | 短い。その場で決まることもある |
| リードの数 | 月に数十〜数百件 | 月に数千〜数万件 |
| 決め手 | 稟議を通せるか。社内の複数人が納得するか | 本人が気に入るか |
| 重要な機能 | 来訪企業の特定、営業への引き渡し、長期の追跡 | 行動に応じた自動配信、LINE・SMS連携、購買データ連携 |
この違いがそのまま、必要な機能の違いになります。BtoBで効くのは「少ない相手を、長く、企業単位で追う」仕組みで、BtoCで効く「多数に自動で当てる」仕組みとは設計が違います。
BtoCの基準で選ぶと外す4つの理由
1. 個人単位でしか追えないと、BtoBでは足りない
BtoBでは、ひとつの案件に 担当者・上長・情報システム・経理 と複数人が関わります。個人単位でしか履歴を持てないツールだと、同じ会社の別の人が来ても別人として扱われ、検討が進んでいることに気づけません。企業単位でまとめて見られるかは、最初に確認すべき点です。
2. フォームを埋めない相手を拾えない
BtoBでは、情報収集の段階で問い合わせをしない人のほうが多数です。名前を残さずに帰った相手をどう扱えるかで、使える幅が変わります。来訪企業の特定は、この「匿名のまま帰った相手」を会社名で把握するための機能です。ただし万能ではなく、特定できない場合もあります。限界は 来訪企業が特定できないのはなぜか|IP判定の限界 にまとめています。
3. 短期前提の自動配信が噛み合わない
BtoCのMAは「カートに入れて離脱した人に1時間後にメールを送る」といった短い周期を前提に作られています。検討期間が数ヶ月あるBtoBでは、この種のシナリオは空振りします。月単位で間を空けて追える設計かを見てください。
4. 営業への引き渡しが抜けている
BtoCは購買まで自動で完結させることを狙えますが、BtoBは最後に人が会います。「誰にいつ連絡するか」を営業に渡せる形で出力できるかが成果を分けます。ここが弱いと、リードは溜まるのに商談にならない状態になります。
BtoBで確認すべき5つの項目
- 1企業単位で履歴がまとまるか ── 同じ会社の別の担当者が来たときに、1社として見られるか。
- 2匿名の来訪を会社名で把握できるか ── 問い合わせしていない相手を拾えるか。精度と限界もあわせて確認する。
- 3長期で追えるか ── 数ヶ月前に来た企業が再訪したときに気づけるか。履歴の保持期間も確認する。
- 4営業に渡せる形で出せるか ── 一覧の出力、SFA連携、通知。誰がいつ動くかが決まる形になっているか。
- 5専任担当がいなくても回せるか ── BtoBの中小企業では営業が兼任していることがほとんど。設定に手間がかかるほど止まる。
※ 比較表の「BtoB対応」という表記だけでは、上の5点が揃っているかは分かりません。デモや無料プランで、実際に自社サイトのデータが入った画面を見てから判断してください。
BtoBでは後回しでよい機能
機能一覧を見ると全部必要に思えますが、BtoBで最初から要るものは多くありません。
| 機能 | BtoBでの優先度 | 理由 |
|---|---|---|
| スコアリング | 低い | リードが月数十件の規模では、人が見たほうが速く正確 |
| 複雑なシナリオ設計 | 低い | 検討期間が長く、分岐より「間を空けて追う」ほうが効く |
| LINE・SMS連携 | 不要なことが多い | 法人の窓口への連絡手段として使いにくい |
| 来訪企業の特定 | 高い | BtoB特有。匿名のまま帰った相手を把握できる |
| フォーム作成 | 高い | 名前を残してもらう入口。ここが弱いと後続が動かない |
「全部入り」を選んで使いこなせないのは、中小企業でよくある失敗です。使う機能を2〜3個に絞れば、低価格帯の製品でも足ります。
よくある質問
Q. BtoB向けとBtoC向けのMAツールは何が違いますか?
追う対象が違います。BtoBは企業単位で、複数の担当者が時間をかけて検討する相手を追います。BtoCは個人単位で、短い検討期間のうちに動いてもらうことを狙います。そのためBtoBでは来訪企業の特定や営業への引き渡しが、BtoCでは行動に応じた自動配信やLINE・SMS連携が重要になります。
Q. BtoCで来訪企業の特定機能は使えますか?
使えません。来訪企業の特定はIPアドレスの持ち主を見る仕組みのため、相手が法人のネットワークから来ていなければ社名は出ません。個人が自宅や携帯回線から見ている場合、出るのは通信事業者の名前です。BtoCでこの機能を期待して契約すると、ほぼ何も表示されません。
Q. BtoBでスコアリングは必要ですか?
リードが十分に溜まってからで間に合います。BtoBはBtoCに比べてリード数の桁が小さく、月に数十件という規模ではスコアで並べ替える意味があまりありません。件数が少ないうちは、来訪企業の一覧を人が見て判断したほうが速く、精度も出ます。
Q. MAツールだけでBtoBの商談は増えますか?
ツールだけでは増えません。MAツールは「誰が来たか」「誰が反応したか」を見えるようにする道具で、そこから先の連絡は人が行います。見えるようになった相手に誰がいつ連絡するかを決めていない場合、リードは溜まるだけで商談にはなりません。導入前に運用の担当を決めておくことが前提になります。
まとめ
- BtoBは企業単位・長期・少数。BtoCの「個人単位・短期・多数」とは設計が違う。
- 確認するのは、企業単位でまとまるか / 匿名の来訪を拾えるか / 長期で追えるか / 営業に渡せるか / 専任なしで回るか の5点。
- スコアリングや複雑なシナリオは後回しでよい。リードが溜まってからで間に合う。
- 比較表の「BtoB対応」だけでは分からない。自社のデータが入った画面を見てから決める。


