問い合わせフォームは、本来はお客様からの相談や質問を受けるための窓口です。そこに営業の連絡を送る以上、受け取る側の手間を少しでも小さくする責任があります。
フォーム営業が「迷惑」と言われるのは、手法そのものより送り方に原因があることがほとんどです。営業お断りと書いてあるのに送る、同じ会社に何度も送る、どの会社にも同じ長文を送る。こうした送り方をやめるだけで、印象はかなり変わります。
この記事では、問い合わせフォームから営業を送るときの手順を、送る前・送るとき・文面の3つに分けて説明します。フォーム営業の基本は「フォーム営業とは?」、反応率や費用の実績は「CV率・歩留率・CV単価を実績データで公開」で紹介しています。
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受け取る側から見たフォーム営業
送る前に、相手の会社で何が起きるかを想像してください。
- 問い合わせフォームの送信は、多くの場合、担当者のメールや社内の共有アドレスに届きます。
- 担当者は、お客様からの問い合わせと同じ場所で営業の連絡を読み、仕分けることになります。
- 問い合わせ種別で「お見積り」や「資料請求」が選ばれていれば、お客様からの連絡だと思って開きます。
つまり、受け取る側には「読んで仕分ける手間」が必ず発生します。嫌がられるのは、この手間に見合わない連絡です。逆に言えば、すぐに営業だと分かり、自社に関係があるかを数行で判断でき、不要なら断りやすい連絡は、手間が小さく済みます。
この記事で紹介する送り方と文面は、すべてこの考え方から来ています。
送る前に確認すること:送らない相手を決める
フォーム営業で一番大事なのは、誰に送るかより誰に送らないかです。送る前に、次の相手をリストから外してください。
「営業お断り」と書いてある会社
問い合わせページに「営業目的のご連絡はお断りします」「セールスのご連絡はご遠慮ください」といった記載がある会社には、送らないでください。相手ははっきり断っています。送れば、自社の印象を下げるだけです。
記載の場所は、フォームの上だけとは限りません。フォームの下、注意事項の欄、送信ボタンの近くに小さく書かれていることもあります。ページ全体を確認してください。
用途が決まっているフォーム
次のようなフォームは、営業の窓口ではありません。
- 採用専用の応募フォーム
- 既存のお客様向けのサポート・修理受付フォーム
- 個人情報の開示請求など、手続き専用のフォーム
- 予約専用のフォーム
一般の問い合わせフォームが別にあれば、そちらを使います。無ければ、その会社には送らない判断も必要です。
すでに取引がある会社・過去に送った会社
既存の取引先や、自社の別の担当者がすでにやり取りしている会社に、新規営業の連絡を送ると、社内の連携不足が相手に伝わります。また、最近送ったばかりの会社に重ねて送るのも避けてください。返信がないことは、多くの場合「今は必要ない」という意味です。
再び送るなら、間隔を空け、前回と違う内容にします。どのくらい空けるかに決まりはありませんが、少なくとも1か月以上空けるのが一般的な目安です。
自社の提案と関係が薄い会社
業種や規模が提案と合わない会社に送っても、相手の手間が増えるだけです。リストの作り方は「営業リストの作り方」で解説しています。
送るときのマナー
問い合わせ種別は正直に選ぶ
問い合わせ種別に「営業・ご提案」や「その他」があれば、それを選びます。営業の連絡なのに「お見積り依頼」「資料請求」を選ぶのはやめてください。お客様からの連絡だと思って開いた相手は、営業だと分かった瞬間に不信感を持ちます。
入力欄は事実で埋める
会社名・氏名・電話番号・メールアドレスは、実在する正しい情報を入れます。必須の電話番号に架空の番号を入れる、担当者が実在しない名前を使う、といった送り方は、相手が連絡しようとしたときに信用を失います。
文字数の上限を確認する
フォームの本文欄には、文字数の上限があることがあります。上限を超えて送信できない、途中で切れて意味が通らない、ということがないよう、短く書ける型を用意しておきます(後半で紹介します)。
送る曜日と時間帯
送信の時刻は、相手の営業時間内を基本にしてください。深夜に届いた連絡は、翌朝ほかのメールに埋もれます。曜日・時間帯ごとの反応の違いは、当社の実測を「フォーム営業に効果的な曜日・時間帯は?」で公開しています。
返信が来たら早く対応する
断りの返信も含めて、返信が来たらその日のうちに対応します。「今後は送らないでほしい」という返信には、お詫びと、今後送らないことを短く返し、確実に送信対象から外してください。別の担当者や別のリストから再び送ってしまうのが、いちばん問題になります。
法律との関係で押さえておくこと
フォーム営業について調べると、「特定電子メール法に違反するのでは」という声を見かけます。公的な資料で確認できる範囲を整理します。
- 特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)が規制の対象にしているのは、法律と省令で定める通信方式を使った「電子メール」です。広告や宣伝のためのメールは、原則としてあらかじめ同意を得た相手にだけ送れること、送信者の名称や受信拒否の連絡先などを表示することが定められています。
- 例外として、事業のためにメールアドレスをインターネットで公表している団体や営業を営む個人には、同意がなくても送れるとされています。ただし、アドレスと併せて広告メールの送信を拒否する旨を表示している場合は、この例外に当たらないと施行規則で定められています(総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」)。
- 問い合わせフォームからの送信がこの法律の「電子メール」に当たるかどうかは、このガイドラインに明記がありません。
このため、この記事では「フォームからの送信は法律の対象外だから自由に送ってよい」とも、「対象だから違法だ」とも言いません。実務では、法律の対象かどうかにかかわらず、次の2点を守ることをおすすめします。
- 「営業お断り」「広告メールお断り」などの表示がある会社には送らない
- 文面に、送信者の会社名・連絡先と、今後の連絡を断る方法を書く
フォームが無い会社に、公表されているメールアドレスへ営業を送る場合は、それ自体がメールの送信になります。アドレスの近くに受信拒否の表示がないかを確認し、文面には送信者の情報と受信拒否の方法を入れてください。メールでの表示のしかたは「配信停止の扱い方|特定電子メール法とマナー」でも説明しています。
この節は、公的な資料をもとにした一般的な情報で、法的な助言ではありません。判断に迷う場合は、自社の法務担当や弁護士などの専門家にご確認ください。
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ここからは文面です。問い合わせフォームの営業文は、営業メールよりさらに短くまとめます。相手は「お客様からの問い合わせ」を読むつもりで開くので、数行で用件が分からなければ閉じられます。
基本の構成
| 順番 | 要素 | 書くこと | 分量の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 営業であることの断り | 突然の連絡であること、営業の連絡であること | 1行 |
| 2 | 名乗り | 会社名・氏名 | 1行 |
| 3 | 連絡したきっかけ | 相手のサイトや事業で見たこと | 1〜2行 |
| 4 | 提案 | 相手にとって何が良くなるか。数字や事例を1つ | 2〜4行 |
| 5 | 依頼 | 次にしてほしいこと。軽いものを1つ | 1〜2行 |
| 6 | 断りの一文 | 不要な場合の伝え方と、今後送らないこと | 1行 |
| 7 | 署名 | 会社名・氏名・電話・メール・URL | 3〜5行 |
本文(1〜6)は400字前後に収めるのが目安です。最初の2行で「営業の連絡であること」と「誰からか」が分かるようにしてください。営業であることを最後まで隠す書き方は、読み終えたあとに不信感を残します。
文面の例
Web制作会社が地域の工務店に送る想定の例です。会社名・氏名・連絡先・資料の内容はすべて架空のものです。
突然のご連絡失礼いたします。ホームページ制作のご提案でご連絡しました。
株式会社サンプルウェブの山田と申します。貴社サイトの施工事例を拝見し、事例の数が多い一方で、スマートフォンでは写真が縦に長く並び、問い合わせボタンまで遠い作りになっていると感じました。
当社では工務店様のサイトで、施工事例ページに問い合わせボタンを追加する改修を行っており、改修後に問い合わせ件数が増えた例があります。
改修の例をまとめた資料(3ページ)がございます。ご興味があれば、ご返信いただければお送りします。
ご不要でしたら、その旨をご返信ください。今後のご連絡は控えます。
株式会社サンプルウェブ 山田 太郎
電話:00-0000-0000 メール:yamada@example.com
https://www.example.com
例の中の「問い合わせ件数が増えた例があります」の部分は、実際に自社が持っている数字や事例に置き換えてください。根拠のない数字は書かないでください。
書き方のポイント
- 1きっかけは、相手のサイトを見て書く ── 「貴社のますますのご発展を」のような、どの会社にも送れる書き出しは、一斉送信だとすぐに分かります。相手の事業や、サイトで見た具体的なことに1行でも触れると、「自社のことを見て送ってきた」と伝わります。
- 2用件は1つに絞る ── 資料も送りたい、商談もしたい、セミナーにも来てほしい、と詰め込むと、どれも行動されません。1通で頼むことは1つにします。
- 3依頼は軽くする ── 初回でいきなり「30分お打ち合わせを」とお願いするより、「資料をお送りしてよいか」のほうが返事をしやすくなります。
- 4断りの一文を入れる ── 「ご不要でしたらお知らせください。今後のご連絡は控えます」の一文があるだけで、受け取る側は断り方に迷いません。断りの返信は、送ってはいけない相手が分かる大事な情報でもあります。
件名欄がある場合
フォームに件名欄があるときは、用件がそのまま分かる件名にします。
| 避けたい件名 | 良い件名の例 |
|---|---|
| お問い合わせ | 【ご提案】施工事例ページの問い合わせ導線について |
| 至急ご確認ください | 【ご提案】採用ページの応募数改善について(資料のご案内) |
| ご挨拶 | 【営業のご連絡】◯◯の運用代行のご案内 |
「【ご提案】」「【営業のご連絡】」のように、最初に営業だと分かる言葉を入れておくと、相手は仕分けがしやすくなります。
避けたい書き方
| 書き方 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 営業であることを最後まで書かない | 読み終えたあとに不信感が残る |
| 「業界No.1」など根拠のない表現 | 確かめようがなく、かえって疑われる |
| 「至急」「重要」 | 相手にとっては急ぎではない |
| 長い自社紹介から始める | 相手に関係があるか判断できない |
| 相手の社名の誤り・別の会社名のまま | 一斉送信だと分かり、一度で信用を失う |
| 断りの方法が書かれていない | 断りたい相手が困り、苦情につながる |
| 「先日お電話した件で」など事実と違う書き出し | 相手を欺く書き方になる |
社名の誤りは特に注意してください。「株式会社」の位置、旧字体、法人格の種類を確認します。文面に会社名を差し込む仕組みを使う場合は、差し込み元のデータが正しいかも確認が必要です。
営業メール全般の書き方は「営業メールの書き方|返信される文面の型と避ける表現」で紹介しています。フォーム営業の文面は、この型をさらに短くしたものと考えてください。
送り方を仕組みで守る
ここまでの確認を、1社ずつ手作業で続けるのは大変です。件数が増えるほど、「営業お断り」の見落としや、二重送信が起きやすくなります。
当社の フォーム営業 by grip space には、この記事で紹介した「送らない」ための機能があります。
- 営業お断りの検出:問い合わせページに「営業はお断りします」「セールスはご遠慮ください」などの文言があれば自動で検知し、送信しません。
- 重複送信の防止:一定期間内に送った会社には、重ねて送りません。期間は自由に設定でき、例えば「1か月空けて再送」もできます。
- 除外リスト:既存の取引先や送りたくない会社を登録すると、常に送信対象から外せます。
- 会社ごとのひと言(ライトプラン以上):送り先の事業内容を AI が読み、相手に触れる1〜2文を名乗りの後に差し込みます。本文は書き換えないので、伝えたい提案はそのまま届きます。
- A/B テスト(ライトプラン以上):2つの文面を交互に送り、クリック率で比べられます。
送信数は、送信を完了できた件数だけを数えます。毎月50通までは無料で、メールアドレスだけで登録できます。文面の効果の測り方は「フォーム営業の効果測定」で、代行とツールの費用の比較は「フォーム営業は代行とツールどちらが安い?」で紹介しています。
よくある質問
問い合わせフォームから営業を送るのは迷惑ですか?
受け取る側には、読んで仕分ける手間が必ず発生します。そのため、送り方によっては迷惑に感じられます。「営業お断り」と書いてある会社には送らない、同じ会社に何度も送らない、営業であることを冒頭で伝える、断り方を書く、といった点を守ると、相手の手間を小さくできます。
「営業お断り」と書いてあるフォームに送ってもよいですか?
送らないでください。相手ははっきり断っています。送っても成果にはつながらず、自社の印象を下げるだけです。記載はフォームの下や注意事項の欄にあることもあるので、ページ全体を確認してください。
フォーム営業の文面はどのくらいの長さがよいですか?
本文は400字前後が目安です。最初の2行で、営業の連絡であることと、誰からの連絡かが分かるようにします。フォームによっては本文欄に文字数の上限があるので、短く書ける型を用意しておくと安心です。
問い合わせフォームからの営業は特定電子メール法の対象になりますか?
特定電子メール法は、法律と省令で定める通信方式を使った電子メールを対象にしています。問い合わせフォームからの送信がこれに当たるかどうかは、総務省・消費者庁のガイドラインに明記がありません。対象かどうかにかかわらず、拒否の表示がある会社には送らない、送信者の情報と断り方を書く、の2点を守ることをおすすめします。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご確認ください。
まとめ
- 嫌がられる原因は、手法より送り方にある
- 一番大事なのは送らない相手を決めること。営業お断り・用途が決まったフォーム・取引先・最近送った会社は外す
- 問い合わせ種別と入力欄は正直に埋める
- 法律の対象かどうかにかかわらず、拒否の表示がある会社には送らず、送信者情報と断り方を文面に書く
- 本文は400字前後。最初の2行で営業であることと名乗りを伝える
- きっかけは相手のサイトを見て書き、用件と依頼は1つに絞る
- 「ご不要でしたら今後のご連絡は控えます」の一文を入れる
参考にした公式情報
総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」(平成23年8月):https://www.soumu.go.jp/main_content/000127185.pdf
総務省 報道資料「特定電子メールの送信等に関するガイドラインの改正」:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban08_000036.html
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(日本法令外国語訳データベース):https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3767/tb

